ブリキのおもちゃコレクターとして有名な北原照久さんは、大好きなブリキのおもちゃを集めて博物館を開館しました。物を大切にすることにこだわり、好きなものに囲まれて暮らす北原さん。75歳の今も少年のような心を持って、夢を追い続けています。
聞き手/大倉順憲
この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年2月号(1/18発売)より抜粋して紹介しています。
――コレクションを始めるきっかけは何だったのでしょう。
北原 僕の実家はスキー専門店で、大学在学中に1年間、オーストリアにスキー留学をしていました。ヨーロッパには、何代にもわたって使い続けた古いものを大事にする文化があり、長く使うことが自慢であり、誇り。「これはおじいちゃんの代から使っている机よ」とかね。僕がホームステイした家でいちばん印象的だったのはお鍋でした。
――シチューを作るような?
北原 そう。大きさの違う銅の鍋を、応接間の暖炉の上に掛けていてね。その鍋でじゃがいもをゆでたり、スープを作ったりする。そして必ず言うのが、「これはひいおばあちゃんの代から使っているお鍋よ」。それを聞いて食べると、またおいしいんですよね。
料理が終わるときれいにして、また暖炉の上にインテリアとして飾ります。鍋を作った人、使う人、それで作った料理を食べる僕。みんながハッピーで、そのこだわりがすごくいいと感じたんです。
――それで古いものをコレクションし始めたのでしょうか。
北原 「好きなものに囲まれて暮らしたら楽しいだろうな」とは思いましたが、すぐには結び付かなかったですね。
帰国後、ある粗大ごみの日に柱時計が捨ててあったんです。「ヨーロッパだったら絶対捨てない」と思い、持ち帰って油をさしたら動き出した。何だか自分で命を吹き込んだ気持ちになりましたね。コレクションの第一号が、拾った柱時計。そこから、古い時計や真空管のラジオを集め始めました。
ラジオはスイッチを入れてちょっとたってから音が出るような古いものが好きでね。それから部屋に飾るポスターや看板、そんなものを集め続けてもう55年になります。熱しやすく冷めにくい、すごくいい性格なんです(笑)。
※この記事は2023年11月1日放送「好奇心は人生を楽しくする」を再構成したものです。
「おもちゃから始まった夢を追い続けて」北原照久さんのお話の続きは月刊誌『ラジオ深夜便』2月号をご覧ください。
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