列車や飛行機などでの長い時間の移動では、どの位置の座席に座るのかも、旅の重要な要素のひとつです。

1年前の「中秋の名月」は9月10日。熊本県宇土市で開かれた「ラジオ深夜便のつどい」の当日でした。須磨佳津江アンカーと参加した帰りの飛行機の中でのアナウンスは「進行方向の右側に、中秋の名月が見えております!」。しかし私の席は左の窓側でした。

ビジネスマンの中には到着後すぐに目的地に向かいたいと、通路側の席を取る人も多くいますが、私は何と言っても景色を楽しめる窓側です。早めの予約ですと、視界が翼に遮られることのない窓側が取れます。今回も計算したつもり? で予約を終わらせていました。ただ、その日が中秋の名月という認識はありませんでした。残念!

ならば美しい月を飛行機からでるのを諦め、「つどい」の 余韻に浸りながらしばらく休もうと思って目を閉じたところ……横から楽しそうな話し声が聞こえてきます。隣の席は空いています。薄く目を開けて確認しました。通路側に座っている人が、通路を挟んで隣のブロックの通路側の人と話しています。マスクはしているのですが話が弾んでいます。休むのを諦めて羽田まで我慢の旅でした。

列車の座席でも運不運があります。数年前の旅の話。みどりの窓口で購入した窓側の指定席まで行くと、車両がガラガラにもかかわらず、すぐ後ろの座席が埋まっていました。席に着いて本を読もうと思いましたが、後ろの席の人がにぎやかにおしゃべりをしています。さらに座席のテーブルを何度もバタン! そのつど私の背中に衝撃が加わります。他の席も空いているのに……。窓口で希望を伝えなかったので、当方の責任です。座席指定は、ご存じのように窓口でもできますが、駅の自動券売機やネットでも選べます。

最近の私の座席予約は窓側の席と合わせ、進行方向や前後の席の埋まり具合もポイントに加えています。あとは当日の運と巡り合わせですね!

(やました・まこと 第2・4日曜担当)

この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年10月号に掲載されたものです。
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