来年春に放送予定の連続テレビ小説「虎に翼」は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった女性・ぶちよしさんをモデルとしたオリジナルストーリー。世間知らずで自信家のところもあるが、全てに全力ないのつめともが、弁護士として、裁判官として、一歩ずつ成長していく姿を描く。

10月26日、NHK放送センター(東京・渋谷)で取材会が行われ、ヒロイン・猪爪寅子役の伊藤沙莉、寅子の母・はる役の石田ゆり子、寅子の父・なおこと役の岡部たかし、制作統括の尾崎裕和が会見に出席し、記者の質問に応じた。


ヒロイン・寅子のモデルである三淵嘉子さんの印象について問われた伊藤は、
「とてもかっこいい方だと思います。また三淵さんのプライベートなお話を聞くと、結構面白い方でもあるんです。今作はポップに描かれているので、楽しんで見ていただける作品になると思います」と明るく語った。

そして“朝ドラ”ヒロインを務めることについて、「プレッシャーはある」としながらも、その上で大切にしたいことを言葉にした。
「長期間、一人の人物を演じた経験はこれまでなく、『ひよっこ』(2017年)で演じた米子も、節目節目で登場するキャラクターでした。皆さんにどういう風に映るのか気になりますが、なにより作品を愛して、楽しんで演じることを大切にしたいと思います」

寅子の母・はる役の石田は、今作が“朝ドラ”初出演となる。“朝ドラ”への思いについて、
“朝ドラ”は子どものころからよく見ていました。テーマ曲を聞くだけで、それぞれの内容がよみがえってくるほど、暮らしと共にある存在。なので今回出演でき、本当にうれしいです。若いころ、ヒロインオーディションを何度も受けましたが、全部落ちてしまって。すっかり縁遠くなったときに、ついに来たのが、お母さん役。私にはこういう感じがとてもあっているんだと思います(笑)」と朗らかに答えた。

すると、寅子の父・直言役の岡部も続けて、
「最初お話を聞いたときは、本当に信じられなかったです。監督さんにこっそり、お母さん役が石田ゆり子さんだと教えてもらったとき、さらに驚きました。まだ緊張が解けていない状態で、撮影しています(笑)」と率直な思いを語り、会場の笑いを誘った。

和気あいあいとトークが弾む中、話は伊藤さんの俳優としての魅力に。
「どの出演作品でもそうなんですが、声が魅力的で、すっと話の内容が入ってくるんです。見習うべきところがたくさんある俳優さんです」(岡部)

「夢と希望がいっぱい詰まった、弾んでいる“ボール”のようです。一緒にお芝居をしていると、そのボールがパーンととんでくる感じなんです。その姿に私たちも刺激されて活性化されていく、そんな力を持った人です」(石田)

「親しみのあるキャラクターでありながら、唯一無二のお芝居をみせてくださいます。現場でもいつもナチュラルで、和やかに撮影が進んでいます。視聴者の皆さんにも距離感を感じさせない方。その魅力を今作でも発揮していただけたら」(制作統括・尾崎)

と、それぞれの愛あふれる回答に、伊藤ははにかみながら、
「石田さん、岡部さんが両親役と聞いて飛び上がりました。お二人とは、今作が初共演となりますが、一緒にお芝居ができて本当に楽しいです。もっともっとたくさん演じられたらと思います」とこたえる。

「虎に翼」は、9月28日に茨城県つくばみらい市のオープンセットでクランクイン。猪爪家のシーンの撮影は始まったばかりだというが、すでに印象深い出来事がいくつもあるという。

「お父さんは優しいけれど、お母さんからはいつもきつく言われる寅子ですが、両親ともに寅子のある言動を喜ぶシーンを昨日撮影しました。そこでのお二人の喜び方が、本当にラブラブにみえて。この二人が両親だったらとても幸せだなと感じたシーンでした」(伊藤)

「本読みのときに、沙莉ちゃんが目をじっと見てセリフをおっしゃってくれたのがとても印象的で。そのおかげでずいぶん緊張も和らぎました。これからの撮影でも、お互いをちゃんと感じながら演じられると思った出来事でした」(岡部)

「先日、第1週の肝になるとても長いシーンを撮影しました。今の時代で言うと、娘が宇宙飛行士になりたいと言っているくらいの場面。大きな夢を持つ娘と、現実はそんなに甘くはないという母との対峙はしびれましたね。ぜひ楽しみにしていただければと思います」(石田)

制作現場の温かい雰囲気が、出演者のトークからひしひしと伝わる取材会だった。制作統括の尾崎は、番組の見どころを以下のように語る。

「寅子をはじめ、その時代の女性が感じていた思いを、共感できるものとして織り込みながら、エンターテインメントとして躍動感のある世界を、脚本の吉田恵里香さんが生み出してくださっています。最初はホームドラマからスタートして、寅子が法律の勉強を始めると学園ドラマになり、弁護士になるとお仕事ドラマになるというように、半年間の中でうねりのあるドラマです。その動きを、視聴者の皆さんにも楽しんでいただけたらと思います」

連続テレビ小説「虎に翼」は、2024年春に放送予定。法律という翼を得た寅子が、どのように力強く羽ばたいていくのか、放送が今から楽しみだ。


これまでに発表された「虎に翼」出演者に関する情報はNHKの公式サイトから
「虎に翼」脚本・吉田恵里香のステラnet連載「グッときた日記」はこちら