年に一度、集落の家を回り、人々を戒め幸福をもたらすという来訪神が、各地
に訪れる。能登町の集落では古くから、春を前に、「アマメハギ」という年中行事が行われている。その様子を森山明能さんが紹介します。

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鬼は「アマメー」と叫んでいろりを回る。子どもたちは、「言うこと聞きます」と必死。

石川県能登町の集落で、節分のころに行われるアマメハギ。若者や子どもが仮面を着け、わらの衣装をまとって鬼にふんする。家々を回って、「怠けずに働け」といさめるのだ。

アマメは、いろりに長くあたるとできる火だこ・・・のこと。そのアマメをぐからアマメハギ。秋田のナマハゲなどと同じ来訪神で、ユネスコ無形文化遺産(注)にも登録された。いろり端にずっといたくなる寒さ厳しい能登の冬と人の心が生んだ、伝統的な民俗儀礼だ。

(注)2018年に全国10行事からなるユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」として登録。

面を着けアマメを剝ぐ"包丁"を持って、誇らしげ。
わらの衣装もすべて手作り。行事とともに土地の営みを伝えていく。
「寒いでしょ」「頑張ったね」とお菓子やお餅をもらうのも楽しみ。

写真提供/ Notonowild


森山 明能 (もりやま・あきよし)

石川県七尾市在住。‟まちづくり”の仕事を通して、登をるくするために奔走。「日本列島くらしのたより」に2/15(水)ほか出演。

(月刊誌『ラジオ深夜便』2023年2月号より)

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