北海道東部にあり、多くの森林や湿原が点在する根室地方は、さまざまな生き物を育む楽園でもあります。北の大地の短い夏をおうする動物たちを、澤尾秀勝リポーターが紹介します。

漂砂が堆積してできた野付(のつけ)半島。海水と潮風で立ち枯れた木々が、独特の風景を作り出す。

5月にようやく桜が咲く根室地方。7月に遅い初夏を迎えますが、霧が立ちこめる肌寒い日もあって、まだまだストーブが欠かせません。

そんな中でも春に生まれた動物たちの赤ちゃんはすくすく成長しています。湿原に目を向ければタンチョウの親子が仲よく歩き、早々に親離れをしたキタキツネの子どもが道端で寝ていることもあります。

春に角が落ちるエゾシカは、新しい角がぐんぐん伸びる時期。角は茶色い皮膚に覆われていて、まるでチョコレートのようにおいしそうな色なのです。湿原では花々が待っていたとばかりに咲き乱れ、短い夏の訪れを謳歌しています。

タンチョウの親子はいつも一緒。
ラッコは子どもを抱いて授乳中。根室にて。
道端で無邪気に眠る、風蓮(ふうれん)湖の子ギツネ。
この時期の袋角は皮膚に覆われてテカテカ。
さわお・ひでかつ
根室ネイチャーセンター代表。アウトドアガイド。「ラジオ深夜便~日本列島くらしのたより」に7/23(火)ほか出演。

撮影/澤尾秀勝
(月刊誌『ラジオ深夜便』2024年7月号より)

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