朴(ほお)の葉のお面。白神山地・岳岱(だけだい)の森(秋田県藤里町)で。

秋田県と青森県にまたがるしらかみ山地は、日本初の世界自然遺産に登録されて今年で30年。山々のすそ野・秋田県能代市に暮らす能登リポーターが、その魅力を語ります。

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白神山地の森が形づくられたのは、今から約8千年前。以来、人の手が入らない原始の森が、鳥や動物、虫など多くの命を育んできました。広大なブナ林は清らかな水をたたえ、秋になるとその実は動物たちの恵みとなります。葉は黄色やオレンジ、赤と、華やかにダイナミックにその色を変え、見飽きることがありません。

大河・米代(よねしろ)川は白神山地に抱かれるように蛇行し、日本海へと注ぐ。
白神の豊かな森が、豊かな海を育てる。秋田の冬に欠かせない鰰(ハタハタ)も神からの恵み。
ブナの巨木の下で、去年芽吹いたばかりの稚樹も色づいている。
朽ちたサワグルミの木からナメコが顔を出し、命が循環する。

そして冬、純白の雪をかぶった山々は神々しく、まさに"白神"そのもの。深い懐に命あるものを抱きつつ、山は静かに春を待つのです。

冬毛になった二ホンカモシカと落穂を拾うサルの親子。どちらも冬支度。

能登 祐子(のと・ゆうこ)

能代市の地域コミュニティー店舗「夢工房 咲く・咲く」経営。結婚後、能代に暮らして40余年。「日本列島くらしのたより」に11/20月ほか出演。

写真提供/(一社)白神コミュニケーションズ・後藤千春
(月刊誌『ラジオ深夜便』2023年11月号より)

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