大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で注目を集める鎌倉市は、町なかに多くの湧き水があります。人々の命を支える鎌倉の水を、アウトドアの達人・寒川一リポーターが紹介します。

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私の暮らす鎌倉は、800年ほど前に幕府が置かれ、多くの人が生活していました。海と山に囲まれた地で、人々はどのように飲み水を得ていたのでしょう。今も残る湧き水を探し、歩いてみました。

鎌倉アルプスのハイキングコースからの展望。南を海、三方を山に囲まれている。
浄智寺の山門手前にある甘露の井は鎌倉十井(じっせい)の一つ。蜜のように甘く、不老不死の効能があるとされた。
源頼朝の命で再建されたと伝わる佐助稲荷(さすけいなり)神社。神の水・霊狐泉(れいこせん)が湧く。

貴重な水の多くは寺社によって守られていたようです。谷戸などの複雑な地形が育んだ湧き水は、長い間、鎌倉を支えてきたのですね。一たび災害が起これば、この水が人々を潤すのです。鎌倉の街や寺社を観光しながら、自分の足と目で水の在りかを確認し、次世代に伝えていきたいものです。

16個の井戸から金剛功徳水が湧く十六の井。花の寺・海蔵寺にある。
散策の途中、佐助ヶ谷の奥にある銭洗弁財天宇賀福神社で冷たい湧き水をくむ。
海蔵寺門前にある底脱(そこぬけ)の井。名前の由来は水をくんで桶(おけ)の底が抜けたからとも。

撮影/寒川一  *和賀江嶋と佐助稲荷神社は鎌倉市観光協会提供


寒川 一 (さんがわ はじめ)

アウトドアライフアドバイザー。自身の経験から、アウトドアの技術を防災に生かすべく活動。「日本列島くらしのたより」に11/14(月)ほか出演。

(月刊誌『ラジオ深夜便』2022年11月号より)

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