あなたが、生まれた日、世界で何が起きていたか知っていますか?
あなたが、入学した日、就職した日、結婚した日、どんな、ニュースや番組がテレビで流れていたか覚えていますか?

まずは、以下のサイトに自分の年齢を入れてみてほしい。
https://www.nhk.or.jp/archives/kaisou/jibunshi/
(NHKアーカイブス 自分史年表)
例えば、50歳と入れて「スタート」ボタンをクリックすると……。

自分が生まれた年から、年齢ごとに主なニュースが表示される。
左上、17歳の1989年(昭和64年/平成元年)ところには、衛星ハイビジョン放送がスタートしたというニュースがある。ニュース映像とともに、懐かしいあの時の記憶が呼び起こされるようだ。

 

もうひとつ紹介しよう!
以下のサイトの日付クリックし、あなたの生まれた日や記念日を入れてみてほしい。その日の番組表が表示される。
https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/
(NHKアーカイブス NHKクロニクル)

NHKクロニクル」で見つけた生まれた頃の連続テレビ小説第12作目「藍より青く」。当時は1年間を通しての放送だった。(「グラフNHK」表紙)

「NHKクロニクル」の番組表で見つけた、連続テレビ小説第12作目「藍より青く」。当時は1年間を通しての放送だった。


ランダムアクセスによって価値を得るネットメディアより、オールドメディアといわれつつあるテレビにこそ「時代の記憶」は宿っている。

いまを生きることは、「時代の記憶」とともに歩むことにほかならない。
同様にして、「音楽」もまた、「時代の記憶」とともに人々のなかに鮮明に記憶されている。あの曲を聴くと、青春時代を思い出す。あの楽しかった日々、あのつらかった日々も……。“懐メロ”といわれるジャンルが存在する理由も、よくわかる。

このテレビと音楽という「時代の記憶」と結びつく2つの要素が合わさった番組がある。
NHK BSプレミアム「MUST BE UKTV」をご存じだろうか?

「UKTV」と題されている通り、イギリスで放送された70~80年代の音楽番組を中心に、一流アーティストの貴重な映像を紹介する番組だ。放送が午前4時台というまさに隙間時間なのは、コアファン向けなのか。ダンスミュージックが好きだった私にとっては、80年代のシンセサイザーの音が耳によくなじむ。

当時、中学生だった私はテレビの前に張り付いて見ていたことを思い出す。友人たちがローラースケートを履いたアイドルに夢中になっていたあの頃だ。特に、ノルウェー出身のポップグループ、a-haの「テイク・オン・ミー」のミュージックビデオを初めて見た時の衝撃は忘れられない。

映像も音楽も革新的だった。その後の私の音楽的趣向を、弾けるようなテクノポップへ傾けたことは間違いない。
いま聴いても、この曲に古さを感じないのは私だけではないだろう↓
a-ha 「Take On Me (Official Video) 」Remastered in 4K
https://www.youtube.com/watch?v=djV11Xbc914

ことし5月、a-haが駆け抜けた夢と絆の日々を記録した『a-ha THE MOVIE』
が公開された。テレビが紡いできた「時代の記憶」を集めたドキュメンタリー映画だ。彼らとともに、時代のなかで熱狂と葛藤をしながら人生を歩んできたファンの思いがそこに重なる。

他にも、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ワム!、シンディ・ローパーなど、80年代の洋楽を聞くたびに、私は思い出す。「自分はこうなりたい、こう生きたい」と夢を描いた10代の胸の高鳴りを。

一方、社会人になってすぐの5年間、私は音楽関連の会社で働いていた。
セールスの記録は覚えていても、なぜか10代の頃のように胸がドキドキするような思い出は少ない。忙しくしていたせいか、「時代の記憶」が少ないのだろう。

しかし、冒頭のリンクでも紹介したように、テレビはあなたが生きた時代を記憶し、そしていまなお、私たちが生きる時代を映しだしている。

そんなテレビというメディアが、来年2月、70年を迎える。
あなたの記憶に残るNHK番組は何だろうか?
きっと、以下のサイトで見つかるはずだ。
https://www.nhk.or.jp/archives/bangumi/special/tv70/
(NHKアーカイブス テレビ放送開始70年特設サイト)

「ニルスのふしぎな旅」(1979~1980年) オープニングテーマが流れるとつい口ずさんでしまう。

テレビの歴史はあなたの歩んで来た年月と、きっとどこかで重なっている。疲れたとき、立ち止まりたくなったとき、自分を見失いそうになったとき、心のスイッチを押してくれる。

それは、今放送されている番組かも知れないし、過去の番組にあるかも知れない。テレビは日常のなかにある。そして、私たちのなかにある。
あの日の胸の高鳴りを、思い出すために。

(取材・文/NHKサービスセンター 木村与志子)