これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
ネクタイって、なんでつけるのでしょう?
答え:生きて帰るため
詳しく教えてくれたのは、服飾評論家の出石尚三さん。
男性がネクタイをつける理由を知るには、まず、その歴史を知る必要があると言います。
ネクタイのルーツは、「クラヴァット」。フランス語では、まさに「ネクタイ」を意味する言葉ですが、もともとは首元を飾る布のこと。一枚の大きな布を折りたたんで使うもので、中世ヨーロッパの王侯貴族の肖像などで首元に見られる、白い布がそれです。
そして、クラヴァットのルーツは、17世紀に遡ります。当時のフランスは、30年の長きにわたって続く戦争の真っただ中。 外国からも数多くの兵士を雇っており、中には、クロアチアから来た兵士もまじっていました。彼らの特徴は、首元に〝カラフルな布切れ〟を巻きつけていること。
この首元の布が、「クロアチア人」のなまった表現である「クラヴァット」と名付けられ、やがて、おしゃれアイテムとして広まっていったのだとか。
では、なぜクロアチア兵は、カラフルな布を首元に巻いていたのでしょうか?
それは、当時、彼らの間では、「家族や恋人など、女性の衣装の一部を身につけていると戦争で死ぬことがない」と信じられていたため。
つまり、ネクタイとは、もともと、戦場から生きて帰るためのお守りだったというわけです。
(NHKウイークリーステラ 2021年10月8日号より)