6月22日(日)に放送の、NHKスペシャル「不発弾処理 足下に潜む“脅威”」。
激しい地上戦により20万人を超える人が亡くなった沖縄戦。80年がたつ今も、沖縄の安全を脅かす存在がある。不発弾だ。戦時中、沖縄ではアメリカ軍によって約20万トンもの弾薬が使われ、そのうち約1万トンが不発弾として残ったと推定されている。現在その処理件数は年間400件を超え、“終わらない戦後処理”とも呼ばれている。

今回、NHKスペシャル取材班が、不発弾処理を任務とする陸上自衛隊「第101不発弾処理隊」に1年にわたって密着。番組では、戦後80年の「慰霊の日」(6月23日)を前に、戦争が残した“負の遺産”を通して、今なお積み残されたままの課題を見つめる。
去年10月、宮崎空港でアメリカ製の不発弾が突然爆発。直径7メートルの穴があき、衝撃が広がった。この6月には不発弾の一時保管庫で爆発が起き、隊員たちが負傷する事故が起きた。実は、戦時中に投下され、爆発しないまま地中に埋もれた不発弾は、今も全国各地に数多く残されている。こうした不発弾の処理は全国で年間約1800件にのぼり、沖縄では1日1件を超えるペースで処理が続いている。

NHKスペシャル取材班は、陸上自衛隊から特別に許可を得て、「第101不発弾処理隊」に密着。農地、工事現場、そして住宅密集地……身近な場所で次々と発見される不発弾。なかには起爆装置がついたままの大型爆弾が住宅地のど真ん中で発見されることもある。
連日、緊急要請があると現場に急行する隊員たちは、
「万が一のことがあったときのために遺書のようなものを書いている」
「1つ1つ確実に進めていかなければ戦後処理は終わらない」と語る。

今なお高い殺傷能力を保ち続ける不発弾。沖縄では戦後、わかっているだけで700人以上が爆発事故で命を落としている。被害者や関係者の取材を進めると、被害者が補償を受けられず、責任の所在もあいまいなままで、救済が十分でない実情が見えてきた。
戦後80年。不発弾処理隊への長期密着取材を軸に、日米の戦争に巻き込まれた結果、不発弾に苦しみ続ける海外の現状も取材。戦争の負の遺産・不発弾が世紀を越えてもたらす脅威を見つめる。
ついに事故が起きてしまった。今月、沖縄で不発弾処理を担う自衛隊員たちが作業中に負傷した。部隊創設以来、初めての事故。不発弾は、一見、石や岩のように見えるが、その威力は80年前の戦争当時のまま。隊員たちは危険を伴いながら処理にあたっている。そしてその“脅威”にさらされているのは住民も同じだ。いまでも毎日のように見つかる不発弾。知っているようで、知らなかった“不発弾のリアルな現場”に迫りました。
NHKスペシャル「不発弾処理 足下に潜む“脅威”」
6月22日(日)総合 午後9:00~9:49