4年ぶりにタモリ×山中伸弥が再集結。「シリーズ人体」の最終章となる「人体Ⅲ」が4月27日(土)よりスタートする。4月21日(月)東京・渋谷のNHK放送センターで記者会見が行われ、タモリ、山中伸弥、NHK久保田祐佳アナウンサー、そして制作統括の丸山優二、白川裕之が出席した。

テレビ番組における「CG映像」を一気に世に広めた科学ドキュメンタリー「人体」シリーズ。1989年にスタートしたNHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体」はタモリがMCを務め、2017年から始まった「シリーズ人体」では山中伸弥とW司会に。今回の新シリーズでは「命とは何か」という壮大なテーマに挑む。

会見では、山中が「研究者としても番組が刺激になる」と述べるなど、今回の見どころが語られた。


4年前には気づかなかったこと

まずは、4年ぶりに新シリーズが始まることについての2人の思いが語られた。その中で、タモリは36年前の収録時の苦労を明かした。

タモリ CGの進歩がとにかくすごい。1989年当時も最先端のCGだったと思いますが、撮影にすごく時間がかかったんです。スタジオの入り口に「人体」って書いてあるんですが、誰かが×をして「忍耐」って書き換えていました。それくらい大変だったのですが、今回は忍耐もなく、撮影も圧倒的に進歩しました。楽しく収録できてうれしく思っています。

山中 前回は東京オリンピック直前に「超人たちの人体」というテーマでお届けしましたが、たった4年でCGの進歩に驚きますね。当時はiPS細胞研究所の所長でしたが、今は1人の研究者に戻り、細胞や生命の根源的なことを研究しています。今回の内容は研究者として見てもとても考えさせられる内容で、随分といろんなことが進化した4年間だったと思いました。

CGについて制作統括の白川は、次のように述べた。

白川 2019年に放送した「人体Ⅱ遺伝子」では、遺伝子の中を精緻にCGで再現したつもりですが、その時に完全に省略していた世界が今回の主人公になっています。人体Ⅱの制作時には気づかなかった「命の本質」というものがわかってきて、医学の進歩の速さとCG技術の進歩が相まって、今回のシーズンⅢができたと思っています。

超高精細CGで描き出す細胞内のファンタジックな世界。

新シリーズは、「命とは何か」という壮大なテーマを掲げる。収録を終えた感想を聞かれたMCの2人は、番組の魅力について語った。

タモリ 命の最先端がどうなっているのか、見ることは大切だと思いましたね。僕自身はますます混乱してしまいましたが、それはいいことだと思っています。混乱するということは考えるということ。命がどうやってできているのか、今、自分がこうしているのはすごい仕組みの上に成り立っていて、自分のことでもあるし他人のことでもある。

哲学的ですが、命ができていく瞬間に怖ささえ感じます。分裂するだけで老化もない大腸菌を羨ましいと思ったりね。文系的にも理系的にも見ることができるのも今回のシリーズの面白さだと思います。

第1集は「命の源 細胞内ワンダーランド」。スタジオゲストは、MISIAと澤穂希。

山中 私は理系でタモリさんは哲学出身ですからね。第1集は細胞の中をのぞくという、どちらかというと理系の内容になっていますが、2集以降は人体をどんどん深く見ていく内容になっていきます。命という話につながって、私たちの命がいつ始まったのか、どんな風に繋がっているのかと、話が深くなっていきます。

最新の科学で明らかになったこともたくさんご紹介していますが、同時に命の意味を考える内容に考えさせられました。知識が増えれば増えるほど、哲学的な問いに到達する。文系と理系の境がなくなる。視聴者の皆さんが命について考える機会になればいいなと思っています。

久保田アナウンサーは、新シリーズの見どころは「驚きの連続」だと話した。 

久保田 新シリーズは、「細胞」に注目しています。その世界は、まさにワンダーランド。最近は、細胞を擬人化した漫画やアニメも話題になっています。見たこともない驚きの世界を最新のCG映像でお楽しみください。そして、第4集に「命はどこからきたのか、どんな意味があるのか」ということをタモリさんと山中先生がお二人でじっくりお話しされる時間があります。これは科学なのか哲学なのか、第一線で活躍されるお二人のお話が聞ける貴重な時間になっています。

「細胞内キャラクター」を観察する久保田アナウンサー・山中伸弥・タモリ。

違う社会も出てくる可能性がある

それぞれ、個人的に興味深かった内容を聞かれると……

山中、タモリの息のあったW司会。

タモリ 最終回は、あまりにも壮大なテーマすぎて、取り乱しながら収録を終えました。我々の世界はこういうものだ、人間はこういうものだ、他人はこういうものだと自分なりの理解で生きているわけですが、最先端の知識を知ると、今まで「こうだ」と思っていたことが崩れ去ることがある。そうすると違う自分もできてくる、おお袈裟げさにいうと違う社会もできてくるのではないかと思います。

山中 私は、個人的には2集目以降に出てくる「細胞が地球上でどのように始まったか」という研究にかなり驚きました。このエピソードから、自分自身の新たな研究のアイデアが出てきて、ぜひ取り組んでみたい。シーズンⅠから数えると20回になりますが、今回のシリーズはかなりインパクトが大きいと思います。

模型をうちわであおぐ、山中とタモリ。

番組の中でタモリは「老いが気になる」とコメントしており、実生活で老いを感じることを聞かれると健康のけつも披露。

タモリ 毎日料理をしていますが、冷蔵庫に何かを取りに行くと「何を取りに来たんだっけ?」と思うことがよくあります。だからこの難解な番組についていくのもやっとです。老化を食い止めるためには歩くこと。あと1年後にどれくらい動けるか予測がつきませんが、今のところはとにかく歩けば脳の活発さも保てるのではないかと思っています。

第1集ゲストとして、澤穂希、MISIAが登場!

第1集は「命の源 細胞内ワンダーランド」。スタジオゲストにMISIAと澤穂希を迎え、最新のCG映像を交えながら細胞の超ミクロな世界をお届けする。


NHKスペシャル「人体Ⅲ」(全4回)

第1集 命の源 細胞内ワンダーランド
4月27日(日)総合 午後9:00~9:49
第2集 細胞40兆 限りあるから命は輝く
5月11日(日)総合 午後9:00~9:49
第3集 命のつながり 細胞40億年の旅
5月25日(日)総合 午後9:00~9:49
第4集 果てしなき命の探求
6月8日(日)総合 午後9:00~9:49
※各放送から1週間は「NHKプラス」で見逃し配信を行います。(ステラnetを離れます)

司会:タモリ、山中伸弥
第1集ゲスト:MISIA、澤 穂希 
※第2集以降のゲストは後日お知らせします。
音楽:川井 憲次
オープニングCG 語り:板垣李光人
出演・ナレーション:久保田祐佳(NHKアナウンサー)