これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
夜中、息苦しさに目を覚ますと部屋の中に何だか怪しい気配。起き上がろうとするけど、 体が全然動かない! ── これがよく聞く“金縛り”のエピソードですが、実際には何が起きているのでしょうか?


答え:そんな夢

詳しく教えてくれたのは、人の眠りについて研究している、江戸川大学・睡眠研究所所長の福田一彦教授。心霊現象など、非現実的な恐怖体験として語られることが多い金縛り。しかし、その仕組みは、すでに現代の科学で解明されていると言います。

金縛りになるとき、実は人は“眠って”います。しかし本人は“目が覚めている”と感じている。つまり、それほど現実的な夢を見ている状態なのです。 学術的には「睡眠まひ」という現象で、眠りについたときの眠りが浅く、脳が部分的に覚醒時と近い活動をしている状態(レム睡眠)のときに起こりやすいと言われています。

眠りについたら、まず一度、ノンレム睡眠に。そして眠りが浅くなるとレム睡眠に。これを繰り返すのが一般的。

そして、レム睡眠時には、筋肉がゆるみ、力が全く入らない状態になる特徴があります。これは、夢に体がいちいち反応しないための脳の働きなのですが、当の本人は、“目覚めている(と思っている)にもかかわらず体が動かない!”という不思議な感覚になります。これが金縛りの正体です。

眠りのサイクルが乱れて、いきなりレム睡眠からスタートしたとき、金縛りになりやすいという。

さらに、レム睡眠時には、脳の中の恐怖や不安を感じる場所が活発に活動。すると、心臓の動きが速くなる傾向にあるため、“胸が苦しい!”という感覚に襲われる人も――。

こうしたことから、無意識に“金縛りは怖いものだ”と感じるようになったと考えられるそうです。

(NHKウイークリーステラ 2021年3月26日号より)