突然ですが「ぼうさいこくたい」ってご存じですか? スポーツの祭典「国民体育大会」(現在は名称が変わり国民スポーツ大会)なら知っているけれど、防災の国体って何?と思う方がほとんどかもしれません。
NHK財団が運営している「留学生向けの防災セミナー」は、今回、熊本市での「ぼうさいこくたい2024 in熊本」にあわせて実施しました。

早速ですが、冒頭の問いに対する答えがこちら。

――ぼうさいこくたい

防災推進国民大会(主催:内閣府等)のこと。通称:ぼうさいこくたい。

防災に関する活動を行う全国の団体が集まり、取り組みや製品を発表したり、交流したりするイベントです。

9回目となる「ぼうさいこくたい2024 in熊本」は、10月19日(土)・20日(日)に熊本市で開催されました。日本最大級の防災イベントとあって、当日は自治体や民間団体など全国から400以上もの団体が出展!マンホールで水洗式で使えるトイレや防災食などの展示、また防災ワークショップなど幅広い催しが行われていました。

会場に隣接するNHK熊本放送局では「NHK防災フェア~楽しく地域の防災力UP~」を開催。熊本地震や令和2年7月豪雨に関するパネル展示のほか、地震のVR体験や防災謎解きゲームなど多彩なコーナーを揃えていました。

「ぼうさいこくたい」屋外展示のエリアでは出展テントがずらり!多くの人が詰めかけていました。
災害時に活躍する衛星中継車や映像送信車両の展示も。ご当地どーもくんである、「からしれんこんどーもくん」もイベントを盛り上げました。

日本語学校の学生たちと防災を学ぶ・知る

NHK熊本放送局による「NHK防災フェア」で、NHK財団が担当したのは「Be Prepared for the Unexpected (不測の事態に備えよう)」と題した防災セミナーです。英語と“やさしい日本語”によるセミナーで、参加者は熊本市の日本語学校の学生たちや地元のみなさん。計2回のセミナーで、当初の予想を超える140名が参加しました。

留学生の中には母国で一度も地震を経験したことがない、という人たちも多く、“地震国”日本での暮らしにとりわけ大きな不安を抱えている、ということがあるのです。そこで私たちは「緊急地震速報」や「震度」について丁寧に、英語とやさしい日本語で説明、大きな地震が起きた時の初動の対応を伝えました。さらに、NHK ワールド JAPANの公式アプリによるプッシュ通知サービスでいち早く地震や津波の情報を複数の言語で得られることや、パスポートのコピーを含めた、いざという時の持ち物についても話をしました。

好評だったのがNHKワールド JAPANの番組「Culture Crossroads – BOSAI: Be Prepared」の一部を用いた防災クイズの動画です。つい間違えてしまう問題もあって、会場は大盛り上がりでした。みなさんもLet’s try!

Q 電車の中で緊急地震速報が!まず取る行動はどちら?

1)吊り革や手すりにつかまる
2)頭を抱えてしゃがむ

日本人の方でも間違えやすいこの問題、正解は1です。大勢の転倒による人の重みは事故につながります。自分が転倒しないよう、吊り革や手すりにつかまり、踏ん張ることが大事。揺れがおさまったら駅員の指示に従って行動することも大切です。

そのほかにも役立つ防災クイズがたくさん!NHKワールド JAPANの「Culture Crossroads – BOSAI: Be Prepared」は👆からご覧ください。(※ステラnetを離れます)

セミナーの講師は、NHKの国際放送で長く英語ニュースのキャスターを務めた青谷優子さん。青谷さんの流ちょうな英語が流れてきて、誘われるように会場へ…という日本人の参加者もいらっしゃいました。

NHK ワールド JAPANの公式アプリは👆からダウンロードできます。(※ステラnetを離れます)

2016年に発生した熊本地震から8年がたちました。熊本をはじめとする西日本から東日本、東北地方の広い範囲で大雨が発生した令和2年7月豪雨からは4年目になります。この日実施した防災セミナーに来場した日本語学校の学生や地域のみなさんは防災への意識が非常に高く、NHK熊本放送局の防災ブースを熱心に見て回っている姿が印象的でした。

セミナーを終えたあと、参加者からは
「日本に来たばかりで防災のことを知りたいと思っていたので、この講座は非常に役に立った」(インドネシア出身の学生)
「災害に関する様々なことを学べた。避難所なども知ることができてよかった」(フィリピン出身の学生)といった声が寄せられました。

NHK財団では、大学の留学生に向けた防災セミナーを様々な教育機関等で実施しています。災害が発生した時に、日本で暮らす留学生など外国人は、いわゆる“災害弱者”になってしまうことがあります。これからも、一人でも多くの方々に「命を守る」情報をお伝えし、少しでも安心して日本で過ごしていただきたいと思っています。

(取材・文/NHK財団 国際事業本部 鈴木伊都子)