地震が起きたらまず身の安全を確保。テーブルの下に隠れるなどして、テレビ・ラジオをつけて情報を得る――― 私たちが子どものころから幾度となく避難訓練に参加し、身につけている基本動作です。一方、日本に来たばかりの外国人にとってはどうでしょうか。突然揺れたけどどうしたらいい?どこに避難?ニュースで盛んに言っている「しんど」って何? 実は、日本に来たばかりの留学生は防災知識があまりなく、不安に思っている人が多いのです。
そこで、一人ひとりの命と暮らしを守ることをめざし、NHKの地域局と国際放送局、そして大学が手を取り合って留学生向けの防災セミナーを開催しました。
(取材・文/NHK財団 国際事業本部 鈴木伊都子)

今回、タッグを組んだのは横浜国立大学。講座のタイトルは「英語で学ぶ防災 NHKによる防災セミナー(“BOSAI” Seminar in English - In Cooperation with NHK-)」。猛暑となった7月7日(金)、大学のメディアホールに留学生、教職員、地域の方々が集まりました。留学生対象ということで英語での開催です。

開催のお知らせチラシ
今回のセミナーは 4月入学の留学生を中心に 学内で英語ボランティアを務める地域の皆さんも参加

「不測の事態に備えよう! (Be Prepared for the Unexpected)」のテーマで講師を務めるのは青谷あおたに優子さん。NHKの国際放送で長く英語ニュースのキャスターを務め、「英語で伝える力」に定評があります。実は、東日本大震災が起きたまさにその日、緊急報道に携わり、世界に向けて情報発信をしていたのが青谷さん。当日の様子も交え、臨場感あふれる講義となりました。

キャスター時代の青谷さん

留学生のほとんどは地震未経験とのことで、メインテーマは防災、特に地震に対する基礎知識を身につけてもらうことです。

▼地震が起きたらまず頭を守る。
▼可能ならばテーブルの下に隠れる。
▼ドアを開けて避難経路を確保する。
▼何よりも落ち着く。

これらを説明すると「自国では地震が起きるとまっさきに外に飛び出していました。実は避難経路の確保が大切なのですね」(パキスタンからの留学生)という声も聞かれました。
また、「震度」という日本人にとっては、なじみがある用語についても、留学生には初めてのことば。震度3はほとんどの人が揺れを感じるレベル、震度6弱では立っていることが困難になるレベルであること、ちなみに東日本大震災は震度7レベルであると丁寧に解説しました。

さらに、青谷さんが強く訴えたのは「正確な情報を得る大切さ」です。第一報はもちろん、刻一刻と変わる災害状況に関するニュースを正確に得る重要性を、元キャスターという立場から解説しました。


おすすめしたのはNHK WORLD-JAPANのアプリです。このアプリはニュースや番組を19の外国語で配信しているので、留学生のみなさんにぴったり。安全・安心情報が充実しており、アプリをインストールすると、自国の家族にも日本の状況を伝えられます。

防災にも力を入れており、緊急情報をプッシュ通知でお知らせする(4言語)ほか、震度5弱以上の地震発生時には、総合テレビのライブニュース映像に英語字幕・音声(AI自動翻訳)をのせてネット配信をしています。

アプリから自動的に通知される機能(プッシュ通知)地震、津波、緊急情報をお知らせ

留学生のみなさんは、その場でNHK WORLD-JAPANのアプリをダウンロードしていました。
講座のあと感想が寄せられました。

I just came to Japan about 3 months and it is my first time to join this seminar and I have learned a lot of thing to prevent disaster. It's so useful.
日本に来て約3か月、このセミナーに初めて参加し、防災について多くを学べ た。とても役立ちます。

留学生やインバウンド訪日外国人など、日本に来たばかりの在留外国人にも、防災知識をお伝えしていく重要性をあらためて感じる1日となりました。


テキストに使用した、日本での滞在や暮らしに役立つガイドブック「Japan Life Guide」は、日本語版を含めた6言語に対応。こちらからご覧いただけます。

英語版抜粋「災害に備えておきたい4つのこと」