1月7日(火)からスタートしたドラマ10「東京サラダボウル」。奈緒さん演じる国際捜査係の警察官・こう麻里まり と、松田龍平さん演じる警視庁の中国語通訳人・あり木野きのりょう が、日本で暮らす外国人と向き合い、異国で生きる人々の葛藤に出会っていくドラマだ。

初回放送を終え、松田龍平さんにインタビュー。謎の多い “アリキーノ”(有木野)のキャラクターと、今後の展開について話を聞いた。


鴻田の“ミドリ頭”が心に響いた理由とは?

——最初に物語を読まれた印象はいかがでしたか?

松田 鴻田(奈緒)が刑事なのにミドリ色に髪を染めているという設定に驚いたんですけど。その理由を聞いて面白いなと思って。

鴻田は主に外国人を担当している刑事だから、言葉が通じなかったり日本人の名前が覚えづらかったりする人のために「あの髪が緑の人」とわかりやすくして、あえて髪を染めていると聞いて、おぉ、なるほどなと。そう言った背景が見えるだけで彼女の仕事にかける情熱や相手に対する思いやりを感じて、このドラマにはある種の人間ドラマとしてのリアリティがあるのかもなと思いました。

——熱血で常に人との距離感が近い鴻田に対して、常に淡々としていて人を近づけない有木野は正反対のキャラクターですよね?

松田 だいぶタイプが違いますね。有木野は、過去のある事件をきっかけに警察官を辞め、警察で外国人の取り調べなどを補助する「通訳人」に転身したんです。それ以来、人との関わりを避けている、謎の多い役どころです。

対照的に、鴻田は誰にでもグイグイ向かっていくパワーあふれるキャラクター。有木野に対しても、出会ってすぐに「アリキーノ」ってあだ名で呼んだり、距離を詰めて行くんです。なかなか普段食べないようなゲテモノ料理を美味おいしそうに頬張る鴻田は変わり者で、そのマイペースさに有木野が圧倒されてしまうという感じ。

タイプとしては重なりようがない2人が、通訳と国際捜査係として事件に向かっていくことで起きる化学反応がこのドラマのおもしろいところなのかもしれないですね。


有木野が鴻田に見せる“微妙な変化”に注目!

——鴻田との出会いで有木野はどう変わっていくのでしょうか? 心の動きをどう演じられたのかも含めて教えてください。

松田 有木野はわからないところが多かったですね。鴻田に出会った時も関わりたいようには見えなかったわりに、鴻田に食事に誘われて意外とあっさり鴻田について行ったり、冷たいと思っていたら急に熱いところもあって。天邪鬼あまのじゃくというか、言ってることと真逆な行動をすることも多い(笑)。

人との間に壁をひいてる有木野にとって、鴻田との出会いは衝撃的だったのかもしれないですね。壁を楽々突破してくる彼女に、どこか感覚的に興味を引かれるものがあったんだと思います。有木野は必要以上に人と関わることを避けてきたから、鴻田に興味を持ってしまった自分を認めたくないところがあるんだと思います。


初めて挑んだ中国語通訳「修行をさせられているようでした(笑)」

——有木野は中国語の通訳人ですが、中国語でのお芝居はいかがでしたか?

松田 中国語を話す役は初めてだったので、まったく分からない状態からスタートして数ヶ月練習しました。中国語の先生に吹き込んでもらった音声を繰り返し耳で聞いてしゃべってみて、覚えられると段々楽しくなってきました。ただ、その後細かいところが気になってきて。同じ発音でも抑揚が変わると意味が変わってしまうし、僕は割と普段から抑揚のない話し方だから(笑)。抑揚をつける修行をさせられているような気持ちになりました(笑)。

通訳人だから、逆に、中国語を聞いて、日本語に訳す流れも、どこで台詞せりふが終わったのかわからなかったり、難しかったですね。

——警察の通訳人という仕事については、どう感じられましたか?

松田 警察に通訳センターという部署があり、通訳人という肩書きでお仕事をされている方がいることを今回初めて知りました。通訳の手法もいくつかあって、警察の通訳人は話者の言葉を区切りながら、一言一句変えずに訳す逐次通訳という手法で訳します。話者の意図に寄り添い正確に伝える通訳は、取り調べなどにおいて絶対的に必要だと思いましたし、責任の伴う難しい仕事だと感じました。

——今後の展開でぜひ注目してほしいポイントや、キーパーソンとなりそうな人物について教えてください。

松田 序盤は、さまざまな国の人たちが事件に巻き込まれ、鴻田と有木野がどう解決していくかというところが主軸になっていますが、回を重ねるごとに、有木野が心を閉ざすようになった背景が少しずつ明らかになります。

特に後半、有木野にとってかけがえのない存在だった織田(中村蒼)や、有木野の先輩刑事だった八柳(阿部進之介)、そして、鴻田と有木野に深く関わることになるベテラン刑事・阿川(三上博史)など、過去につながる人物たちが出てくると、さらに物語が転がってくると思うのでご期待ください。

©JUNJI HATA
【プロフィール】
まつだ・りゅうへい

1983年5月9日生まれ。1999年映画『御法度』で俳優デビュー。NHKでは、連続テレビ小説「あまちゃん」、大河ドラマ「天地人」「いだてん〜東京オリムビック噺〜」をはじめ、「ハゲタカ」「眩 ~北斎の娘~」「歪んだ波紋」「ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」「いちげき」など数々の作品に出演。Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」が1月9日(木)独占配信スタート。

ドラマ10「東京サラダボウル」(全9回)

毎週火曜 総合 午後10:00~10:45 
             BSP4K 午後6:15〜7:00
毎週金曜 総合 午前0:35~1:20(再放送)※木曜深夜

【あらすじ】
警視庁の中国語通訳人・有木野了(松田龍平)は、ひょんな事から国際捜査の警察官・鴻田麻里(奈緒)と出会う。2人は、失踪した観光客の捜索から、国をまたいだ密輸ビジネスに至るまでさまざまな案件の捜査をすることに。捜査の合間に各国の食をともに食べるうちに、2人は“胃”の合う絶妙コンビに変化していく。

原作:黒丸 『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』
脚本:金沢知樹
音楽:王舟
メインテーマ曲:Balming Tiger
メインビジュアル/デザイン:大島依提亜
メインビジュアル/スチール撮影:垂水佳菜
出演:奈緒、松田龍平
   中村蒼、武田玲奈、中川大輔、絃瀬聡一、ノムラフッソ、
   関口メンディー、朝井大智
   張翰、許莉廷、喬湲媛、Nguyen Truong Khang
   阿部進之介、平原テツ、イモトアヤコ、皆川猿時、三上博史ほか
演出:津田温子(NHKエンタープライズ)、川井隼人、水元泰嗣
制作統括:家冨未央(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
プロデューサー:中川聡子