1945年、「広島」への原爆投下。 3日後の「長崎」。その9年後、1954年に漁船・第五福竜丸が被ばくした「ビキニ事件」。
これに続く、“第四の被ばく”とも言える知られざる事件があった――。
9月15日(日)放送の「NHKスペシャル」では、1年にわたる取材で、事件の実態に迫った。
私たちの社会が長い間、その存在を忘却してきた被ばく事件がある。1958年7月、アメリカの水爆実験によって、太平洋上で海洋調査を行っていた海上保安庁の測量船「拓洋」と巡視船「さつま」の乗員113名が放射線を浴びていたのだ。
事件から1年後、乗員の1人で「拓洋」の機関士だった永野博吉さん(当時34歳)は、急性骨髄性白血病でこの世を去った。当時、国は永野さんの被ばく線量は「微量」で、白血病と被ばくを「直接関連づけることは困難」と結論づけた。
それから65年、妻の永野澄子さんは、事件の実態を誰からも知らされないまま過ごしてきた。
なぜ、夫は死んだのか――。番組では1年をかけて、日米の機密文書や乗員の証言などを独自に集めて分析。当時、日米両政府が核実験による被ばくの実態を把握しながら、水面下で封じようとしていた事実が明らかになった。
その背後にあったのは、戦後日本とアメリカの核をめぐる不都合な真実だった。初めて浮かび上がる“第四の被ばく”の実態に迫る。
NHKスペシャル 封じられた“第四の被曝”―なぜ夫は死んだのか―
9月15日(日)総合 午後9:00~9:55ほか