「メディア・リテラシーかるた」が誕生して間もなく1年。
NHK財団では、これまでおよそ1,000部のかるたを、ご希望された学校や教育関係者、また個人のお宅に無料で配布させていただきました。
(2023年度分配布は終了。自分でかるたを印刷できるダウンロードサイトがあります☛絵札のダウンロード読み札のダウンロード

このかるたを監修していただいた日本大学文理学部の中橋雄教授から、「大人のためのリテラシー:これからの知恵と技法を考える」(一般財団法人INSTeM主催)のコンベンションに、かるたで出展してみませんか、とお誘いいただき、3月9日(土)10日(日)の2日間、ブース展示とワークショップを行いました。その様子をご紹介します。


かるたは「楽しみながら考えるきっかけ」

2日間のブース展示では、主にかるたの札をご覧いただいて、内容をご紹介しました。(「メディア・リテラシーかるた」の詳しい説明はこちらの記事を参照
メディアに触れるのは「危ない」「気を付けよう」という注意ばかりでなく、「うまく使うと便利」「ルールは自分たちで作る」など、前向きに活用する側面も紹介しました。
“メディア・リテラシーについて、楽しみながら親子で一緒に考えるきっかけになれば”という、かるたを作ったねらいもお伝えしました。

展示の様子(東京大学情報学環福武ホールで)

展示ブースに来られた方々からは、様々な声をいただきました。
「かるた、いいですよね、販売したら買いますよ」(←今、販売はしていないんです、すいません)
「メディア・リテラシーかるたってありそうでなかったですね」
海外から来られた方にも関心を持っていただいたようです。
「かるたは海外でも(子どもと)親和性が高いです。ダウンロードさせてもらいます」
「小学生でもできますか? 家族で読み上げながら、一緒に考えてみたいと思います」
 


大人向けのミニワークショップ「かるた大会」開催

2日目には、大人向けのミニワークショップとして「かるた大会」を行いました。

定員いっぱいの16人の方から申し込みがあり、参加していただきました。コーディネーターは、監修の中橋雄教授です。中橋教授から「楽しみながらかるたで学ぶ良さを体験していただきます」と、ワークショップの趣旨が伝えられた後、4人1組になったテーブルごとに、ひとり1分の自己紹介。和気あいあいと話がはずみます。

そして、「あそびかた」の説明です。

かるたでは、札を取ることに熱心になるあまり、1文字目だけを見て書かれている内容が二の次になることもあります。そこで、このかるたでは、絵札をとった人がグループのメンバーに「絵札の表側(絵)を見せながら、裏側に書かれた「ポイント」を読み上げることにしています。
「あそびかた」の説明のあと、かるたを並べて、さあ、スタートです!

司会が「読みま~す」と合図をすると、自己紹介を行っていた時の笑顔から一転、勝負する真剣な眼差しに変わります。

「なるほどね~」「こういうケースもあるよね」とテーブルごとに、さまざまな声が聞こえてきました。


ゲームのあとは「感想交流」

全ての札が取り終わると、次は「感想交流」に移ります。実は、これが重要。
これは大切なことだな、印象に残ったな、と思った札をグループごとに1枚選んでもらい、そう思った理由とともに発表してもらいました。

「き」札
決めつけず 見えない部分を想像しよう
左の子が殴っている!と思いきや、画面の外では右の子のキックが……

【発表者からのコメント】
伝えたい内容と絵がマッチしていた。子どもを対象にした時に分かりやすい。
映像が「切り取られたものだ」ということを、最近身近に感じている。

 「こ」札
広告がニュース記事のふりをしているかも
よく見ると小さく「広告」って。これ、よく見ますよね

【発表者からのコメント】
小学校で調べ学習を行う時、記事広告に乗せられちゃう子どもも多いので、教える時に使えると感じました。


【日本大学 中橋雄教授】

誰かに何かを伝えるには、物事のある一面を切り取る必要があります。「なぜこのような表現をしたのだろう?」と送り手の意図を考えることができれば、勝手な解釈をして「だまされた!」と腹を立て争うことは減るかもしれません。
情報の送り手と受け手とでは、当然、価値観も異なります。「メディア・リテラシー」は、そうしたズレを送り手と受け手が歩みよって埋めていく際に必要とされる能力です。
心地よいメディア社会にしていくために、一緒にかるたをした人たちと、そんなことを考えてもらえればと思います。


今回は大人向けに開催した「メディア・リテラシーかるた」のワークショップをご紹介しました。

AIが文章も画像も簡単に作り出せるようになった今、フェイクニュースもより巧妙になり、中には事実かどうか確かめようもない情報もあふれています。
でも、子どもも大人も、この情報の海の中を泳いでいかなければなりません。
そんな中で、メディア・リテラシー教育はどうあったらいいのか、まだまだ模索は続いていきます。

「騙されてはいけない」などと、メディアを単に「危険なもの」と捉えるのではなく、楽しみながら一緒にメディアとの付き合い方を学ぶ……そんな「メディア・リテラシーかるた」の魅力を広めていければと思います。

関心がある方は、「ステラ net」の「メディア・リテラシーかるた」の記事をご覧ください。
かるたの詳しい情報やお問い合わせ方法、ダウンロード方法も書いてあります。

(取材・文/NHK財団 展開・広報事業部 佐藤 紘司)