2021年9月に総務省がまとめた推計によれば、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は29.1%となり過去最高。その数は3640万人に。
高齢化社会が急速に進む日本において、いつかは誰もが向き合うことになるのが「介護」です。
ところで皆さんは「介護」という言葉に対して、どのようなイメージを持っていますか?
汚い、きつい、危険……、そんな暗いイメージを抱く人もいるかもしれません。
しかし「介護」に対するイメージは、決してそんなネガティブなものばかりではありません。
例えば、
この「介護」にまつわる思いを詠んだ短歌から、あなたは何をイメージしますか。
ちょっと、想像してみてください。
こちらは、
大分県 吉﨑 ゆみさん(53歳)が想像したイメージ。
かわいらしいネコのイラストは、仲むつまじいご夫婦をほうふつとさせてくれますね。
亡き夫を思い出して寂しさを募らせるのではなく、まだすぐそばで寄り添ってくれている……。そんなやさしさを感じる作品です。
吉崎さんのイラストに添えられたメッセージによれば、ご自身も同様な貼り紙をしたことがあるとのこと。
在りし日のご夫婦に思いをはせたのでしょうか。
ここに紹介したのは、
介護する人、介護される人が感じるさまざまな思いを詠んだ「新・介護百人一首」のひとつ。
(新・介護百人一首2021ホームページはこちらから )
新型コロナウイルスの感染拡大で、家族ですら面会できないやるせなさや、介護職を目指す若い人たちの熱意や戸惑い、そして介護の中で感じる温かな思いやり。
そんな悲喜こもごもの情景が、三十一文字で表現されています。
そしてこのイラストは、2021年度の100首の入選作品に添えるイメージを募集したなかの作品のひとつです。(現在も募集中!)
では、もう一首ご紹介しましょう。
イメージを膨らませてみてください。こちらです!
兵庫県 山本 光範さん(67歳)が想像したのは、こんなイメージです。
散歩に出かけるところでしょうか。
車いすを押す手は力強く、その手には水筒が握られています。
まっすぐ前を見つめるまなざしに希望を感じます。
山本さんによれば、荒田さんの短歌から感じた「車椅子を押すやさしさ」を表現したとのこと。
色使いやタッチにも、やさしさがにじんでいますね。
歌に詠まれた思いは作者のものですが、作品からのイマジネーションは人それぞれ。
自身の思いを交え、みなさん自由にイラストを描いてくださっています。
最後に紹介するのは、こちらの一首です。
ぜひ、想像してみてください。
こちらは日本で介護を学ぶ留学生の方が詠んだ歌。その思いが伝わってきますね。
そして、鳥取県 嶋田 幸枝さん(72歳)がこの歌からイメージしたのは、色鮮やかで大きなイチゴ。本当においしそうです。
嶋田さんのイラストに添えられたメッセージを紹介しましょう。
「私も亡き主人に食事介助をしていました。いちごもミキサーにかけて、とろみつけてと、懸命にミキサー食事を作っていたころを思い出します」
さて、みなさんは「新・介護百人一首」からどんなことを想像しますでしょうか?
ぜひ、イラストで表現してみてください。(募集は2022年3月31日まで)
▼募集用紙は以下からダウンロードできます!▼
https://www.nhk-sc.or.jp/kaigo/assets/media/illust_apply.pdf
この「新・介護百人一首」の取り組みを通して、多くの人が「介護」に心を寄せ、いっしょに考えるきっかけになればうれしく思います。
みなさんのご応募、心よりお待ちしています。
(取材・文 NHKサービスセンター 冨澤 緑)