「ラジオ深夜便」アンカーのエッセーをステラnetでも。今回は「関西発ラジオ深夜便」の中村宏アンカー。最新のエッセーは月刊誌『ラジオ深夜便』6月号で。

去年7月に大阪・羽曳野市で行った「深夜便のつどい」の模様が8月の私の担当日の「深夜便」の中で放送され、会場で披露した私のオカリナ演奏も電波に乗りました。そのころ、私がオカリナを始めて1年。実は、「ちょっと、うまくなっているかもしれない」とひそかに思っていたころでした。

しかし、その録音を聴いて落ち込みました。リズムがしっかり取れずに、前のめりの演奏になっていたのです。1回目に失敗して、やり直した演奏だったので、焦っていたのかもしれません。
一昨年7月、プロのオカリナ奏者にインタビューした際、目の前で演奏を聴いて美しい音色に魅了され、その先生に翌8月から月1回のレッスンを受けるようになりました。オカリナを始めて4か月、大胆にも徳島県で行われた「深夜便のつどい」で2曲を演奏し、「まあまあかもしれない」と勘違いをしたかもしれません。今、思えば「初心者にしては〝まあまあ〞だった」にすぎなかったのだと思います。

「深夜便のつどい」で演奏を披露する中村宏アンカー。
愛用のオカリナ。

そんな様子を見てとったのか、レッスンの際に先生から「家で演奏を録音して、来月のレッスンのときに聴かせてください」と言われました。自宅で録音して聴いてみると、あちこちにアラが見つかり、「え? これが自分の演奏?」とショックを受けました。先生いわく「録音を聴くと、自分の演奏がよく分かりますよ」。まさに、そのとおりでした。

そういえば、私自身が中学生や高校生に朗読やアナウンスメントを教えるとき、その場で彼らの発表を録音して再生し、「自分のしゃべりを録音して聴くと勉強になりますよ」と偉そうなことを言っていました。
考えてみると写真もそうです。自分の写真を見て、「え? こんなに老けてるの?」とがく然としたことはないでしょうか。録音も写真も自分に対して客観的になりますからね。
そろそろ中級の曲を練習しようかと思っていましたが、もう一度、基礎をやり直した方がいいようです。

(なかむら・ひろし 第2金曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年4月号に掲載されたものです。

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