新・介護百人一首

さすり座の
男と称し
妻の背を
さすりて紡ぐ
老いの絆を

神奈川県大島 士郎 88歳)

詞書

体も弱まり、言葉もなく暮らす日々に、妻の背を擦れば、僅かな反応に心が結ばれていることを感じました。

感想コメントをいただきました

鎌田實

出だしの言葉の破壊力は、抜群。「さすり座の男」、笑いました。 後半の、「妻の背を擦りて紡ぐ老いの絆を」。暖かく、優しく、綺麗に、まとめています。
介護に負けない、さすり座の男に、拍手を送りたいと思います。パチパチパチ。

鎌田實

1948年生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、JIM-NET顧問、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員(他)。武見記念賞受賞。