連続テレビ小説「ちむどんどん」で、井之脇海さんが演じるのは、「アッラ・フォンターナ」の元従業員で、現在は暢子(黒島結菜)が経営する「沖縄料理ちむどんどん」で料理人として働く矢作知洋。少し気難しい性格だけど、料理への愛情は人一倍持っている矢作の役柄、そして気になる今後の物語の展開についてお聞きしました。

矢作は思考がねじれている!?

台本を読んだときに、矢作は「思考回路がちょっとねじれている人だなぁ」と思いました(笑)。素直に思ったことを言えばいいのに、あえてキツい言い方をすることが多いですよね。

でも矢作が一番好きな「料理」に対しては、言葉が素直に出てきます。暢子が作った料理に対して「うまい」と正直に言える純粋さを持っている。料理に対する真摯な姿勢と、対人関係でのちょっと気難しい一面を今後もうまく表現できればと思っています。

矢作は「フォンターナ」を辞めた後、自分の店を持つのですが、全然うまくいかず、お金も底をついてしまい、大きな挫折を味わいます。

そんな中、再会した暢子から、「一緒に店をやろう」と声をかけてもらった。矢作にとって、まったく想像もしなかった言葉ですが、とてもうれしかったと思います。「フォンターナ」時代の暢子の努力を矢作も認めていたはずですから。ただやっぱりプライドもあって、すぐに「はい、やりたいです!」と言えないところは矢作らしいなと(笑)。


暢子への憧れと嫉妬の行方

矢作は、一生懸命コツコツと努力を積み重ね、「フォンターナ」の料理人に上り詰めたのだと想像します。しかし、暢子はセンスと感覚だけで皆をうならせる料理を作っていく。そんな暢子の才能に、憧れと同時に嫉妬も抱いていたのではないでしょうか。

その後、矢作もいろいろな経験をして、暢子の店でいっしょに働くようになってからは、暢子の才能を受け入れる余裕ができた気がします。暢子への接し方は、相変わらず強く見えるかもしれませんが、「フォンターナ」にいた時の接し方とは変わっています。演じるうえでも、成長を感じていただけるように演じました。そんな矢作の変化にも、ぜひ注目していただけたらうれしいです。

そして、矢作はまたいつか自分の店を持つという夢を抱いています。そのために、暢子からたくさん吸収したいと思っているし、逆に自分の技術もいろいろ暢子に教えたいはず——。個人的には、矢作が暢子のバディのような存在になれたらいいなと思います。

暢子を演じる黒島さんは、どのシーンでも暢子として、凜としていらっしゃる。いっしょに演じると、黒島さんからパワーをもらうことが多いんです。ハードなスケジュールでもしっかりこなされていて、本当にすてきな女優さんだなと思います。


スッキリするような終わり方?

今後、矢作は料理を通して沖縄を好きになり、人とつながる大切さを実感していきます。その変化はつぶさに描かれるわけではありませんが、挫折を味わった矢作が一歩ずつ成長していく姿に、ぜひ注目していただけたらと思います。

「ちむどんどん」の物語もいよいよクライマックスに向かっていきます。
色々な壁にぶつかるたびに成長してきた暢子の人生はどのように着地するのか。僕はどこかスッキリするような終わり方のように感じています。皆さんも最後まで楽しみに見ていただけたらうれしいです。

[スペシャルクエスチョン]
井之脇さんが印象に残っている沖縄ことばは?

賢秀(竜星涼)がよく使っている「だからよ~」が好きですね。放送で賢秀が使っているのを見て、なんかかわいいなと思いまして(笑)。友達と話すときについつい言っちゃうときがあります。