これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
大根といえば、白! でも、ゆでたり煮たりすると、うっすら透明になりますよね。料理自慢のステキな大人のみなさん、その理由は何なのか、考えたことありますか?


答え:もともと透明だから

詳しく教えてくれたのは、東京農業大学の三井ゆう准教授。
生だと〝白く〟見える大根ですが、もともとの色は〝透明〟だといいます。大根を拡大して見てみると、細胞は多くの水分を含んでいますが、水は透明。そして大根を構成する細胞の壁の主成分、セルロースやペクチンも透明です。

つまり、透明なものの集まりなので、大根は本来〝透明〟なのです。

それがなぜ白く見えるのかといえば、細胞と細胞の間にある〝空気〟が原因。

例えば、水が入ったコップにストローをさすと、空気と水との境でストローが曲がって見えますよね?
あれが、空気と水では光の進み方が違うことで起こる「光の屈折」という現象です。

大根の場合、 光が大根の細胞の表面で屈折。さらに細胞間でもたくさんの乱反射を起こすので、結果、白く濁って見えるというわけです。

もともと水、細胞壁、空気は透明だが、光の進み方の違いから起こる屈折や乱反射によって、白く見えるようになる。例えば、雪の結晶自体は“透明”なのに、集まって空気を含むと“白く”見えるのも同様の理由。

そして、ゆでると透明になるのは、まず、細胞壁が加熱によって分解されるため。さらに、それによって鍋の湯が細胞間に浸透、そこにあった空気が押し出されるため。

つまり、光の屈折を起こす要素がなくなるので、大根本来の〝透明〟に見えるようになるのです。

(NHKウイークリーステラ 2021年9月10日号より)