これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
野球の試合中に、審判が告げる「ストラ〜イ ク!」という言葉。野球ファンはもちろん、あまり詳しくない人でも知っている、実に基本的な野球用語です。でも、その意味となると.....?


答え:審判の不満の声

詳しく教えてくれたのは、名城大学の鈴村裕輔准教授。
「ストライク(strike)」とはそもそも英語で「打つ」という意味の動詞ですが、野球の審判が口にするそれは、「打て!」 というバッターへの“忠告”なのだといいます。

現在の野球のルールの基礎が生まれたのは、1845年のアメリカ。当時は、先に点を取ったほうのチームが勝ちで、ピッチャーは、バッターのリクエストに従って打ちやすい球を投げるのが務めでした。つまり、バッターが球を“打つ”ことが大前提のスポーツだったので、打たずに見送った球を、審判が「ストライク」や「ボール」と判定する必要もなかったのです。

当時のルールでは、ピッチャーは、ソフトボールのように下手投げ。しかもバッターがリクエストしたコースに、打ちやすい球を投げていた。

ところが、野球の人気が広まっていくなかで、選手たちの意識に変化が起きます。「どうしてもヒットを打ちたい!」がために、自分好みの球が来るのをねばって待つ選手が出てきたのです。

しかも、当時は「見送り三振」でアウトになるというルールがなかったので、彼らのせい で、試合時間はひたすら長くなるばかり......。

空振り3回でアウトになるルールはあったが、いい球をいくら見送ってもアウトにはならなかったため、ヒットを打って得点するためにねばるバッターが出てきた。

それを不満に思った審判が思わず口にしたのが、「Goodball, strike!(いい球だ、打て)」。
これがやがて、球の判定を告げる言葉となり、ルールに組み込まれていったと考えられるそうです。

(NHKウイークリーステラ 2021年5月28日号より)