これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
人が笑うと“えくぼ”ができるのはなぜでしょう?“えくぼの秘密”、わかりますか?


答え:人類が平和と幸せを求めて進化してきたから

詳しく教えてくれたのは、顔の筋肉や構造に詳しい、日本医科大学非常勤講師の青木律先生。
「えくぼ」とは、笑ったときに頬などにできる顔のくぼみのこと。これは、顔の“表情筋”と“じん帯”の作用によるものだと言います。表情筋とは、顔の表情をつくる筋肉のこと。腕や足の筋肉と違って、骨だけでなく皮膚にも接着しているのが特徴です。

ヒトの顔には、ほかの動物にはない筋肉が数多くあり、これによって複雑な表情をつくっている。つまり、えくぼができるのは人類だけ。

一方、顔のじん帯は、 骨や皮膚、筋肉とつながって、 筋肉がずり落ちないようにとめる役割を果たしています。

青い線が、代表的な顔のじん帯。※模型ではわかりづらいため、担当ディレクターの顔に青木先生が描いてくれました......。

人が“笑う”ことができるのは、発達した表情筋のおかげなのですが、笑顔になると、口角を上げる筋肉が縮みます。
すると、この筋肉につながっているじん帯も引っ張られます。さらにじん帯に接着している皮膚も引っ張られるため、結果、皮膚に“くぼみ”が発生。これが、えくぼの正体なのです。

じん帯は、骨や皮膚、筋肉に接着して、筋肉がずり落ちるのをおさえている。そこで、表情筋が動くと、じん帯も皮膚も連動するしくみ。
筋肉が縮み、じん帯が引っ張られると、じん帯とつながっている皮膚の部分にくぼみができる。これが、えくぼ。えくぼができる人は、じん帯と皮膚との結びつきが強い。

青木先生いわく、「笑顔とは、相手に対して自分の楽しい気持ちやうれしい気持ちを伝えるた めのサイン。人類は、互いに笑顔を見せ合うことで、争いや戦争を回避してきました。そして、えくぼは笑顔をより強調するためのもの。つまり、えくぼは人類が平和と幸せを求めて進化してきた証しなんです」

一日もはやく、世界のあちこちでステキなえくぼが見られる日が来るといいですね!

(NHKウイークリーステラ 2021年4月23日号より)