ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、黒井雪子役の瀧内公美さん、小川うさ子役の志田彩良さんから、第35回の振り返りをご紹介!


瀧内公美さん振り返り

――卒業式の後、黒井は学校を去るのぶ(今田美桜)に「愛国のかがみたれ!」と言葉をかけました。あのシーンは、どのようなお気持ちで撮影に臨まれたのですか?

あのシーンは私の撮影初日だったんですが、のぶの顔を見ていたらなぜか涙が止まらなくなってしまったんです。でも、チーフ演出の柳川さんから「(黒井は)泣かない方がいいよ」と言われて、あまり感情をブラさずに演じました。一人一人の生徒に愛着はあるものの、生徒は生徒といいますか。黒井の気持ちとしては、この女子師範学校で培った精神性を忘れず、強くあってほしいという思いで、のぶたち卒業生の背中を押してあげたかったんだと思います。

最後に贈るのが、この「愛国の鑑たれ」という言葉だったのが、この時代のすべてを表しているように感じたんですよね。黒井は最初から最後まで、一貫してずっと「お国のために尽くしなさい」と言い続けてきた人。でも、それは黒井の個人的な感情ではなくて、時代というか、そういう教育を施すことが当たり前で。ここから、物語も本格的に戦争の時代へと突入するのですが、その前段としての時代背景を象徴するのが黒井の役割なのかなと思って演じていました。

――のぶとうさ子に対して一貫して厳しく接してきた黒井も、彼女たちの成長を感じていたと思われますか?

自分の過去もあって、黒井は生徒たちを自分の子供のように見ていた部分もあったのではないでしょうか。だから、のぶとうさ子に対しても一見厳しく見えるかもしれないんですけれど、そういった愛情はあるんじゃないかと思っています。

のぶは最初から意志が強い子で、地元の小学校で働くという目標を選んで、自分の道を切り開いた。黒井ものぶの成長を感じたんじゃないかな。

一方で、あれだけ精神の弱かったうさ子がこれだけ強くなったのは、黒井にとってもうれしいことだったのだと思います。ただ、うさ子はある意味、まわりの環境に流されやすいタイプだと思うので、だからこそ、黒井に心酔していったんじゃないかなとも感じています。


志田彩良さん振り返り

――女子師範学校を卒業したうさ子は、将来的には黒井先生のようになっていくのでしょうか?

のぶちゃんとは進む道が分かれましたが、うさ子は黒井先生に心酔していて「一生お支えする」とセリフでも言っていましたので、きっとそうなっていくと思いますね。やっぱりうさ子は、自分の決めた道をちゃんと貫き通す子だろうと思うので。その望みをしっかりかなえて、今度はうさ子が生徒たちに憧れられるような、そんな存在になっていけたらいいなと思います。