総合テレビ、日曜夜8時といえば「大河ドラマ」。その冒頭を彩ってきた華麗なテーマ曲の数々をお贈りした「N響大河ドラマ&名曲コンサート」(3/9(土)・東京芸術劇場)の模様がN響のYouTubeチャンネルで公開中です。演奏は、テーマ曲演奏のほとんどを受け持ってきたNHK交響楽団(N響)。いわば“本家本元”による名演奏の「聴きどころ」を、「NHKラジオ深夜便」の松井治伸アンカーがご紹介します。

会場ポスターと松井治伸アンカー。

N響演奏の「大河」名曲がYouTubeでいつでも聴ける!

コンサートは、第1部が「大河ドラマ編」。
オープニングは、1978年の「黄金の日日」(作曲・池辺晋一郎)。主人公の貿易商・助左が活躍した南海の大海原が見えるような雄大なテーマです。

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続いては、昨年放送された「どうする家康」(作曲・稲本響)。途中に手拍子も加わる明るく軽やかな作品です。

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3曲目の「春の坂道」(1971年/作曲・三善晃)は一転、独奏チェロのモノローグに、たたみ込むようなテーマと、緊迫感に満ちた音楽。主人公の将軍家剣術指南役・柳生宗矩の求道精神を思わせます。

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さらに、映画や放送の音楽に名作を残した作曲家・林光の手によるものが3曲披露されました。

斎藤道三、織田信長、明智光秀が織りなすドラマ「国盗り物語」(1973年/作曲・林光)は、前半が野性的、後半が雄大でロマンチックな音楽。
幕末に活躍した軍略家・大村益次郎が主人公の「花神」(1977年/作曲・林光)は、新しい時代の到来を思わせるおおらかなメロディが心に残ります。
そして、日系2世・天羽賢治の悲劇を描いた「山河燃ゆ」(1984年/作曲・林光)は、舞台となった戦前戦後の激動の時代を反映したような躍動的な音楽です。

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秀吉の妻・ねねの生涯を描いた「おんな太閤記」(1981年/作曲・坂田晃一)は、桜の花びらが舞い散るようなはかなさを秘めた曲。
地域医療に情熱を注いだ高原未希が主人公の「いのち」(1986年/作曲・坂田晃一)は、しっとりとしたメロディが心にしみます。

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「真田丸」のオープニング独奏を務めた三浦文彰さん(写真左)。
「光る君へ」テーマ曲を演奏するピアニストの鈴木慎崇さん。

前半最後は、ソロ楽器をフィーチャーした作品が2曲。

まずは、2016年の「真田丸」(作曲・服部隆之※隆の字は、「生」の上に横棒が入る旧字体)。バイオリン独奏は、オリジナルの録音でもソリストをつとめた三浦文彰さん。いきなりバイオリンソロで始まるこの曲、主人公・真田信繁の情念が乗り移ったかのようなメロディが印象的です。

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そして、今年の「光る君へ」(作曲・冬野ユミ)。こちらは鈴木慎崇さんの独奏ピアノが華やかに活躍する、平安絵巻さながらの作品。2曲のコンチェルトを続けて聴いたかのようで、ソリストの素晴らしい演奏も相まって、会場は大いに沸きました。

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大河ドラマ撮影時のエピソードを話す俳優の高橋英樹さん(写真右)と、ナビゲーターの山田美也子さん。
作曲家の坂田晃一さん(写真右)。

舞台には、多くの大河ドラマに出演されてきた俳優の高橋英樹さんと、大河ドラマの音楽を手掛けた作曲家の坂田晃一さんも登場。撮影や作曲にまつわる、取って置きのエピソードを話してくださり、テーマ曲ともども、大河ドラマの魅力にあふれたステージになりました。

お二人のお話を含む第1部は下記からご覧いただけます。

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『モルダウ』『美しく青きドナウ』…川・河にまつわる名曲たちも

第2部は、大河ドラマにちなんで、「川」や「河」にまつわる名曲の数々。

ヴィヴァルディの『四季』から小川のせせらぎが描かれた『春』、スメタナの交響詩『モルダウ』、ヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』です。キンボー・イシイさんの熱のこもった指揮にこたえて、N響が華麗かつ細やかな表情を織り交ぜながら、名曲を堪能させてくれました。

最後にアンコール曲として、能登半島地震の被災地の復興を願って、「利家とまつ」紀行テーマ~永久(とわ)の愛~(2002年/作曲・渡辺俊幸)が演奏されました。
第2部は下記からご覧いただけます。

N響YouTubeチャンネル 第2部「河」「川」にちなんだクラシック名曲選、アンコール「利家とまつ」はこちら

指揮者のキンボー・イシイさん。

華麗でダイナミックな響き、変幻自在な色彩感、繊細な表情、巧みな構成など、大河ドラマのテーマ曲は作曲家が腕によりをかけて作った、まさに「2分半の小宇宙」。
N響が奏でる名曲の数々を、どうぞお楽しみください。

(展開・広報事業部 松井治伸)

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コンサート終了後に撮影された記念写真(写真左からナビゲーター・山田美也子さん、作曲家・坂田晃一さん、俳優・高橋英樹さん、指揮者・キンボー・イシイさん、ヴァイオリニスト・三浦文彰さん、N響コンサートマスターの伊藤亮太郎さん)。

「N響大河ドラマ&名曲コンサート」

2024年3月9日(土) 東京芸術劇場(東京・池袋)
指揮:キンボー・イシイ ヴァイオリン:三浦文彰 
特別ゲスト:高橋英樹 ゲスト:坂田晃一 ナビゲーター:山田美也子
管弦楽:NHK交響楽団
【第1部 大河ドラマ編】
「黄金の日日」(1978/池辺晋一郎) 
「どうする家康」 メインテーマ ~暁の空~(2023/稲本 響)
「春の坂道」(1971/三善 晃) 
「国盗り物語」(1973/林 光) 
「花神」(1977/林 光)
「山河燃ゆ」(1984/林光) 
「おんな太閤記」(1981/坂田晃一) 
「いのち」(1986/坂田晃一)
「真田丸」(2016/服部隆之)* 
「光る君へ」メインテーマ~Amethyst~(2024/冬野ユミ)
【第2部 「河」「川」にちなんだクラシック名曲選】
ヴィヴァルディ/『四季』─『春』*  
スメタナ/交響詩『モルダウ』
J. シュトラウスⅡ世/ワルツ『美しく青きドナウ』
アンコール 「利家とまつ」紀行テーマ~永久(とわ)の愛~(2002/渡辺俊幸)
*印は、三浦文彰さんがソリストを担当した楽曲。