2025年の大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえい華乃がのゆめばなし~」。江戸時代、歌麿や北斎といった浮世絵師や作家など個性豊かな才能を見出だして次々に世に送り出した出版人、“蔦重”ことつたじゅう​三郎ざぶろう(横浜流星)の生涯を描きます。

今回、蔦重の故郷・吉原で共に生きる新たな出演者が発表されました。


吉原を代表するひきぢゃ​の主、そして蔦重育ての“親”
駿河するが/高橋克実

吉原の引手茶屋(客に遊女を紹介する案内所)“駿河屋”の主。両親に捨てられた、幼い蔦重を養子にして育てあげた。蔦重の商売に対する姿勢と才覚には一目置いている。

【高橋克実さんコメント】
舞台は1700年代半ば。華やかな江戸の町人文化が発展した時代。この時代を
描いたドラマで真っ先に思い出すのが、昭和 46 年に放送された「天下御免」。主人公は平賀源内でした。小学生だった私は毎週興奮して見ておりました。そして、令和7年に登場する主人公は蔦屋重三郎。自分が出演するというのに、早く見たい! 今からワクワクしています!


流行りもの好きな放蕩息子 蔦重の“義兄”
次郎じろ兵衛べえ/中村蒼

駿河屋の実子であり、蔦重の義理の兄。吉原に向かう手前の十間道じっけんみちで茶屋の経営を任されてはいるが、実際の切り盛りは蔦重が行っている……蔦重は、その軒先を借り、貸本屋も営んでいる。次郎兵衛は、はやりもの好きでおしゃに敏感、自由気ままな性格で、いわゆる「放蕩ほうとう息子」。

【中村蒼さんコメント】
今回演じる次郎兵衛はちゃんと働かず遊びなどに熱心な息子で、吉原の問題には常にどこか蚊帳かやの外ではありますが、重三郎が悩みもがいている時に同じ目線で悩み、同じ目線で喜びを分かち合う、義兄だけど友のような存在だと思います。フラフラしている次郎兵衛ですが、どこか憎めずみなさんから愛されるような人物に出来るようにしたいと思います。


伝説となる名妓を輩出し続ける老舗のろう
松葉まつば/正名僕蔵

代々“名妓”としてその名を江戸中にとどろかす「瀬川」を輩出してきた老舗妓楼“松葉屋”の主。花の井(小芝風花)ら数多くの遊女を抱え、花魁おいらんから禿かむろまで、その数は50人以上とも。吉原の顔役で町の決め事を取り仕切る。

【正名僕蔵さんコメント】
老舗妓楼の楼主、すなわち忘八ぼうはちをやらせていただきます。忘八……、すごい言葉
ですね。とは言え、役者稼業を生業としている私にもどこか“忘八”めいたところ
があるような……。不孝者は否めませんから、さっそく“孝”は欠けております
し、年長者に従順である意の“悌”も怪しいところです。“忠”、“信”は心許なく、
“仁”、“義”も疑わしい。あっという間に忘六です……。そんな忘六者ではありますが、せめて“礼”と“智”はおざなりにせず、役を務めさせていただく所存です。よろしくお願いいたします。

仁・義・礼・智・忠・信・考・悌といった八つの徳目を忘れ(捨てて)遊女たちをこき使い、遊客から金をむしり取る妓楼主たちのことをいう。


和歌、俳句、画に通じた教養人の妓楼主
おうぎ/山路和弘

松葉屋とともに吉原を取りまとめる妓楼“扇屋”の主。「墨河」という号を持ち、俳句、和歌、画などをたしなむ教養人で遊女たちにも和歌や書を習わせ、花扇、滝川といった名妓を育てた。

【山路和弘さんコメント】
この時代、人物、特に絵師たち物書たち版元たち。実は私の大好物でして。十返舎じっぺんしゃ一九いっくや、この蔦重も好きでやらせて頂いた事がございます。様々な思惑が渦巻く中、生き残りを賭け江戸市中を、そして吉原を全力疾走する姿。たまりません。さて今回いただいた「扇屋」というお役。蔦重の敵やら味方やら、善人やら悪人やら(多分後者でしょうが……)まだ判りかねますが、如何いかが相成ります事やら。乞うご期待。


愛称は“カボチャ” ドケチの“忘八”
大文字だいもんじ/伊藤淳史

新興勢力の妓楼“大文字屋”の妓楼主。伊勢から江戸へ出て最底辺の河岸見世の遊女屋の経営から始め、中見世の妓楼に店を拡大・成長させた経営手腕を持つ。経費削減のため、女郎に安いカボチャばかり食べさせたことから“カボチャ”のあだ名を持ち、“ドケチ”として江戸中に知られ、子どもたちの口ずさむ歌にもなったといわれている。

【伊藤淳史さんコメント】
カボチャと呼ばれたドケチ。もう、魅力以外見つかりません! 吉原についての歴史をきちんと学びながら、楽しい作品をお届け出来るよう、スタッフ共演者の皆様と、力を合わせて頑張ります! 私自身、20年ぶりの大河ドラマに出演させて頂けること、大変光栄に思います。よろしくお願いいたします。カボチャ、大好きです!


蔦屋向かいの“つるべ蕎麦そば”の主
半次郎はんじろう/六平直政

五十間道、茶屋・蔦屋の向かいにある蕎麦屋“つるべ蕎麦”の主。幼いころから蔦重や次郎兵衛を見守ってきた。

【六平直政さんコメント】
人口100万を超える世界有数の大都市、江戸。その江戸の吉原、五十間道にあった、つるべ蕎麦そばの店を営む、半次郎。この主人・半次郎が私の役です。
野暮を嫌い、粋を重んじる、江戸っ子には、3分で食い終る蕎麦が最も似合っていた。市井の人々に混じって蔦屋重三郎も半次郎のつるべ蕎麦を食べながら、さまざまなことを半次郎に相談していた。吉原五十間道のつるべ蕎麦の半次郎は江戸の様々な変化を日々、目の当たりにしていた。この半次郎が見ていた江戸の人々が織り成す世界も「べらぼう」の毎回の楽しみになるとよいと思います。蔦重と半次郎の2人の関係も楽しみです。


【物語】

18世紀半ば、人口は100万を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した江戸。蔦重こと蔦屋重三郎は、江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋の養子となる。
血のつながりをこえた人のつながりの中で育まれた蔦重は、貸本屋から身を興して、その後、書籍の編集・出版業をはじめる。
折しも、時の権力者・田沼意次おきつぐ(渡辺謙)が創り出した自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内など多彩な文人が輩出。蔦重は、朋誠堂ほうせいどうさんなどの文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本」という挿絵をふんだんにつかった書籍でヒット作を次々と連発。33歳で商業の中心地・日本橋に店を構えることになり、“江戸の出版王”へと成り上がっていく。
蔦重が見出だした才能は、喜多川歌麿(染谷将太)、山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。
しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる……蔦重は、その後も幕府からの執拗な弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔が襲う……。
命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛けるのだった……。

 


2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」

放送予定:2025年1月スタート
作:森下佳子
主演:横浜流星(蔦屋重三郎役)
公式Xアカウント:@berabou_nhk