新・介護百人一首

算数が
苦手な私が
教えてる
その相手は
元校長先生

佐賀県行武 心暖 17歳)

鳥取県 嶋田幸枝

詞書

認知症の方と頭の体操のために、私の苦手な算数を教えながら一緒にトレーニングを行った。まさか私が校長先生に算数を教える時がくるとは思わなかった。

感想コメントをいただきました

茂木健一郎

人生はずっと教え、教えられる長い道のり。出会う人は、みな先生だという言葉もあります。「算数が苦手な私」が、めぐりめぐって教えることになった、そのお相手は「元校長先生」。肩書きや、経歴など関係なく、人と人として向き合う時、さまざまな余計なことがはがれ落ちて、人としてのまっさらな姿が浮かび上がってくるのではないでしょうか。そのような御縁をさりげなくとらえたこの歌には、人生はそんなに悪いものではないなと思わせる微笑みがあります。

茂木健一郎

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究。文芸評論、美術評論などにも取り組む。NHKでは、〈プロフェッショナル 仕事の流儀〉キャスターほか、多くの番組に出演。