新・介護百人一首

長年の
うらみつらみを
聞かされて
介護を受ける
身から出たさび

福岡県中島 正美 81歳)

詞書

食事、排便の介助を受けながら、若いころのうらみを聞かされる。身から出たサビとは言いながら……。

感想コメントをいただきました

鎌田實

いいですね。中島さん。ご自分をまな板の鯉にしているところが素晴らしいです。最後の「身から出たさび」という句が、とても効いている。
この短歌を読む人自身へ、どうぞご注意を……と聞こえます。
もっと早く気づくべきだった……とみんな思う。なかなか気がつかないものなのです。でも、中島さんは気がついた。そこがすごい。

鎌田實

1948年生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、JIM-NET顧問、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員(他)。武見記念賞受賞。