新・介護百人一首

コロナ禍で
面会できず
約2年
祖母の記憶に
私いますか?

宮城県佐藤 優芽 18歳)

愛知県 匿名希望
愛知県 大島結花
愛知県 ペンネーム 彼女がいなくても人生楽しい
愛知県 ペンネーム ちんげんさい

詞書

祖母が認知症のため施設に入りましたが、コロナが流行はやり面会が出来なくなったため、色々な意味で互いの姿を知りません。

感想コメントをいただきました

恩蔵絢子

人間の言葉は、人間の脳が生み出す一番高次なもので、健康な若者は、スマートフォンで文字だけで高速にコミュニケーションを取ることができますが、認知症のある人には、言葉だけを届けてもピンときにくいところがあり、身体全部を使ったコミュニケーション、すなわち実際に顔を見せ、手をつなぐことのほうが、言葉で「好きだよ」というよりも、遥かに感情を伝えやすくなるところがあります。顔を隠し、触れなくするマスク一枚、アクリル板一枚が、「私がここにいるよ」ということを伝えるのに、障害になってしまう。本当に苦しい数年間でしたね。しかし、どれだけ離れても必ず、「私」はお祖母様の記憶の中にいると思います。

恩蔵絢子

脳科学者。2007年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了(学術博士)。専門は自意識と感情。2015年に同居の母親がアルツハイマー型認知症と診断される。母親の「その人らしさ」は認知症によって本当に変わってしまうのだろうか?という疑問を持ち、生活の中で認知症を脳科学者として分析、2018年に『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)を出版。認知症になっても変わらない「その人」があると結論づける。NHK「クローズアップ現代+」、NHKエデュケーショナル「ハートネットTV」に出演。2022年には、母親に限らず、認知症についてのさまざまな「なぜ?」に対して脳科学的に解説する『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』(中央法規。ソーシャルワーカー・永島徹との共著)を出版。現在、金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学非常勤講師。