新・介護百人一首

ロボット化
したる体を
ロボットが
真心持ちて
介護する世くる

東京都佐藤 春夫 71歳)

詞書

加齢と共に体は動きがぎこちなくなり、それあたかも当初のロボットの様である。しかしながらITの進歩は目覚ましくまた高齢者の増加に反し介護職員が足りない状況を補完する「真心」ロボットの介護の世がきっとくる。

感想コメントをいただきました

茂木健一郎

科学やテクノロジーの進歩とともに、介護の現場も変わっていきます。それとともに、プロフェッショナルな方々のお仕事の内容も変わっていくことでしょう。「ロボット化したる体をロボットが」と、そのような技術の進歩を客観的に記述した後で、「真心持ちて」と受けるところに、この歌のすばらしさがあるといえるでしょう。ロボットが持つ真心。それは、人工知能などの技術が発展することで生まれるものであると同時に、かかわる人の思いが投影されているのかもしれません。

茂木健一郎

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究。文芸評論、美術評論などにも取り組む。NHKでは、〈プロフェッショナル 仕事の流儀〉キャスターほか、多くの番組に出演。