新・介護百人一首

今まさに
投票箱に
落ちんとする
聞き書きの票の
行方確かむ

鹿児島県坂江 恭子 51歳)

愛知県 匿名希望

詞書

難病の後遺症で上下肢、体幹麻痺まひとなった父と参議院選挙の投票に行きました。父は、投票所の立会人の方に、口頭で意思を伝え、書いていただいた投票用紙をじっと見つめ、「入れますよ」のかけ声にうなずいていました。その様子が、とても印象的でした。

感想コメントをいただきました

鎌田實

難病で、重い障害を持ったお父さんが、選挙に行く。それだけでかっこいい。
ぼくの病院でも、臨時の投票所を作り、第三者を立ち会い人にして、障害のある人や病気のある人にも選挙に参加していただけるようにしてきました。
難病や重い障害があっても、一票を投じることで、この国の民主主義は守られているのです。選挙に行かない人が増えている、昨今。この短歌をたくさんの人に読んでもらい、一票を投じることの大切さを、国民ひとり一人が再確認したらいい。
選挙に出る人たちにもこの短歌を読んでもらい、どんな思いで庶民が一票を投じているのかを知ってほしい。政治家は、裏金作りに奔走するのではなく、弱い人を守ることの大切さを胸に刻みつけてほしいものです。

鎌田實

1948年生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、JIM-NET顧問、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員(他)。武見記念賞受賞。