新・介護百人一首

ホームにて
身はベッドに
委ねても
洒落しゃれの上手な
和顔施わがんせの人

秋田県小松 紀子 71歳)

詞書

認知症対応型グループホームに四年ほど勤務していました。頓知頓才とんちとんさいの方も沢山いて、職員も楽しく働いていました。

感想コメントをいただきました

吉田潮

いい職場ですね。利用者もスタッフも、なごやかな空気を作り出している、そんな印象です。認知症でいろいろなことを忘れてしまっても、「笑顔は忘れない」人もいれば、「洒落心を忘れない」人もいるのだと教えてくれる、素敵な歌です。社会に出ると、常に笑顔で人と接する難しさを知ってしまいます。心で泣いても愛想笑い、納得いかなくても作り笑い、笑顔と心的疲労がセットになるのが世の常。自分の眉間のしわを反省します。

吉田潮

ライター・コラムニスト・イラストレーター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業。健康誌や女性誌の編集を経て、2001年よりフリーランスライターに。週刊新潮、東京新聞、プレジデントオンライン、kufuraなどで主にテレビコラムを連載・寄稿。NHKの「ドキュメント72時間」の番組紹介イラストコラム「読む72時間」(旧TwitterのX)や、「聴く72時間」(Spotify)を担当。著書に『くさらないイケメン図鑑』、『産まないことは「逃げ」ですか?』『親の介護をしないとダメですか?』、『ふがいないきょうだいに困ってる』など。テレビは1台、ハードディスク2台(全録)、BSも含めて毎クールのドラマを偏執的に視聴している。