新・介護百人一首

おもしゃいべ
いろんな人が
いるもんだ
父の言うこと
今ならわかる

山形県後藤 早紀 17歳)

詞書

私が実習に行った時に楽しかったことを父に言うと、介護福祉士の父が私に職場でのことを教えてくれておもしゃいべと言ってくれた時のことを思い出し、おもしゃいという父の気持ちが今なら分かると思った。

感想コメントをいただきました

恩蔵絢子

介護福祉士というお父様の職業に、この方も就かれたということでしょうか。介護の現場では、「同じ時代に生きる人にもいろんな考え方の人がいるもんだ」という理解ではすまされないところがあって、お持ちの病気や障害が違うというだけでなく、自分とは違う年齢層の、時代的にも全く違う習慣を持つ人々に出会います。その人にとっての普通が、自分にとってはまったく普通ではなく、人を学んでいくことで自分がよく生きられるようになることが介護の面白さなのだと、私も人に言われたことを思い出しました。

恩蔵絢子

脳科学者。2007年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了(学術博士)。専門は自意識と感情。2015年に同居の母親がアルツハイマー型認知症と診断される。母親の「その人らしさ」は認知症によって本当に変わってしまうのだろうか?という疑問を持ち、生活の中で認知症を脳科学者として分析、2018年に『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)を出版。認知症になっても変わらない「その人」があると結論づける。NHK「クローズアップ現代+」、NHKエデュケーショナル「ハートネットTV」に出演。2022年には、母親に限らず、認知症についてのさまざまな「なぜ?」に対して脳科学的に解説する『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』(中央法規。ソーシャルワーカー・永島徹との共著)を出版。現在、金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学非常勤講師。