新・介護百人一首

呆けても
震えておらぶ
祖母の声
生きる姿を
全身で伝う

熊本県貴田 雄介 35歳)

詞書

九十五歳で亡くなった祖母は身体の大きな人でした。晩年は認知症になり意識がはっきりとしませんでしたが、おらぶ(叫ぶ)姿から哀れさよりも人間が生きるとは何なのかという哲学的な問いを受け取りました。

感想コメントをいただきました

久保田雅人

人に限らず多くの生物が思いを伝えるために声を発します。でも、人間だけが言葉を会得して、人に思いを伝え続けています。でも、言葉にできない思いを発し続けるつらさは計り知れないものがあります。言葉にできない思いを受け止めてくれる人がいてくれるということがとっても幸せなことなのです。人が発する言葉にならない思いを受け止めることが出来る世の中になって欲しいものです。私もそんな人間になりたいものだと考えさせられた短歌です。

久保田雅人

1961年8月生まれ 東京都出身
立正大学文学部卒 社会科教員免許取得
1990年4月~2013年3月 NHKEテレ「つくってあそぼ」わくわくさん役で出演
番組放送中から全国で工作ショウや親子工作教室などを行う
現在も「わくわくさん」「工作の伝道師」として工作ショウ、講演会、工作研修会などを全国で展開中