横浜流星主演、森下佳子脚本で、2025年1月より放送予定の大河ドラマ「べらぼう~(つた)(じゅう)(えい)()()(ゆめ)(ばなし)~」。“江戸のメディア王”として時代の寵児になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の人生を描く、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマだ。

今回、題字が発表され、担当した書家の(いし)(かわ)(きゅう)(よう)さんからコメントが届いた。

【題字】石川九楊 

いしかわ・きゅうよう
書家。1945 年福井県生まれ。台東区在住。京都大学法学部卒業。京都精華大学教授、文字文明研究所所長を経て、現在、京都精華大学名誉教授。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解く。評論家としても活躍し、日本語論、日本文化論は各界にも大きな影響を与える。
作品制作・執筆活動、いずれの分野でも最前線の表現と論考を続け、現在までに書作品 2,000 点以上、著書100 点以上を世に送り出した。

【石川九楊さんのコメント】
題名が「べらぼう」だと聞いたとき、なかなか含蓄のある憎い命名に舌を巻いた。語源は江戸時代の見世物小屋のしゅうぼうじん便ぼう。今では転じてれ者など負の意味合いが強調されて使われることが多いが、そこには、尋常ならざる、異界の人などの正の意味も重なっている。

ここを見定めて書き始める。「べらぼ」まではすんなりと筆は進むが、「う」の箇 所で、「ウッ」と筆が渋る。正書法は「う」だが、実際の発音は限りなく「お」に近い。「べらぼー」と音引きするか、「べらぼお」と口を大きく開いて書き終える誘惑にかられる。「う(U)」と口をすぼめて終る気になれないのだ。そこで行きついたのが、 やや口を開いた「う」字。

また副題「蔦重栄華乃夢噺」では、人名「蔦重」が異質。そこでここは違った署名風の書体で書くことにした。


大河ドラマ「べらぼう~(つた)(じゅう)(えい)()()(ゆめ)(ばなし)~」

 2025年1月放送開始予定
作:森下佳子
主演:横浜流星(蔦屋重三郎役)
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
展開プロデューサー:藤原敬久、積田有希
演出:大原拓、深川貴志、小谷高義、新田真三
公式 X アカウント:@berabou_nhk
ハッシュタグは#大河べらぼう

【物語】
18 世紀半ば、人口は 100 万を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した江戸。蔦重こと蔦屋重三郎は、江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋の養子となる。
血のつながりをこえた人のつながりの中で育まれた蔦重は、貸本屋から身を興して、その後、書籍の編集・出版業をはじめる。
折しも、時の権力者・田沼意次(渡辺謙)が創り出した自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内など多彩な文人が輩出。蔦重は、朋誠堂喜三二などの文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本」という挿絵をふんだんにつかった書籍でヒット作を次々と連発。33 歳で商業の中心地・日本橋に店を構えることになり、“江戸の出版王”へと成り上がっていく。
蔦重が見出した才能は、喜多川歌麿(染谷将太)、山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。
しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる……。蔦重は、その後も幕府からの執拗な弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔が襲う……。
命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛けるのだった……。