全国の中学生が日頃の校内放送活動の成果を発表しあう「NHK杯全国中学校放送コンテスト」。2024年度第41回コンテストの参加規定がこのほど公開されました。新学期を迎えた各校でコンテスト参加に向けた準備が始まります。

NHK杯全国中学校放送コンテストは、次の4つの部門で成り立っています。

アナウンス部門:地域や学校の話題についてニュース原稿を作成して発表

朗読部門:指定された作品を朗読

ラジオ番組部門/テレビ番組部門:自分たちの手で番組を作って発表

アナウンスと朗読はいわば「個人戦」、ラジオ番組とテレビ番組は複数の生徒が制作作業を分担してひとつの番組を作り上げる「団体戦」です。

コンテストに参加する生徒は、顧問の教師や先輩の指導のもと、身の回りのできごとの取材、読み方や発声の練習、台本作りなどの準備を始めます。そして、新入生が「お昼の校内放送」や「運動会の司会」にデビューし始める6月頃から7月にかけて、最初の関門となる都道府県地区大会が各地で開かれます。

アナウンス部門の課題は「中学校生活の中から素材を求めた内容」、番組部門の課題は「中学校生活から生まれたもので、テーマは自由」とされています。

全国大会予選審査の様子

たとえば、前回(第40回)の「アナウンス部門」で最優秀賞に輝いた生徒は、ハンカチを持たずに登校する生徒の多さに問題意識を持ち、手を洗った後、トイレから教室までの道のりを全力で走ることによって手を乾かす友人の姿と、その際に飛んできた水滴を浴びた経験を原稿にまとめ、読み上げました。受賞者インタビューでは「放送部のある高校へ進学し、将来は放送関係の仕事に就きたい」と夢を語ってくれました。

また、同じく前回「番組部門」にエントリーされた作品には、生徒たちの思いが伝わってくる作品が数多くありました。

<前回作品の例>

なぜ学校には「掃除の時間」が存在するのかを考察

学校行事での校長先生の話が「長い」ことを分析し、もっと短く簡潔に伝わる方法を考えて、実際に校長先生に伝えに行ったことをリポート

自らの体験をもとに、小学校時代の不登校の原因となった教師と連絡を取り、対話を試みた

◆運営は、参加校やコンテスト参加経験のある教師たち

映像・音声の再生も教師が担当。モニターを見つめる目は真剣そのもの

このコンテストの運営は、参加校やコンテストに参加した経験のある教師たちが担っています。特に、毎年8月に開催される全国予選・決勝の際には多くの教師が会場に集まり、公正な審査のために必要となるぼう大な作業を手分けして進めます。

学校に送る資料の封入作業。「封筒に貼るテープの長さも、きちんとしましょう」

全国予選・決勝で各部門の審査を担当する教師は、評点のほか、コメントも書きます。そのコメントは各参加校に送られ、顧問の教師経由で個々の生徒が読むことになります。「生徒にわかりやすい言葉で、今後の活動に生きるようなコメントにしましょう」とは、審査チーフの教師の言葉です。

作業の合間に教師同士で「こういう練習をするといいですよ」「うちの生徒にも教えてあげよう」などと指導方法について情報交換する姿も見られます。生徒たちのみならず、教師たちにとっても、熱い思いのあるイベントなのだと感じます。ぜひ、全国の中学生や教師の皆さんに、体感していただきたいと思います。

全国コンテストに出場するには、まず、各都道府県地区大会への参加が必要です。都道府県地区大会は、6月ごろから始まります。詳しくは各地区の大会事務局へお問い合わせください。大会事務局の連絡先は、放送教育ネットワーク「第41回中学校放送コンテスト」ページに掲載されています。


NHK財団はこのコンテストの主催者の一員として運営業務の一部を担い、校務で多忙を極める教師たちを年間を通じてサポートしています。今年もどんな発表や番組が見られるか、楽しみにしています。

NHK杯全国中学校・高校放送コンテストについて、詳しくは、NHKの公式サイト「NコンWEB」をご覧ください。

(文/NHK財団 展開・広報事業部 堀田伸一)