NHK財団はテレビの放送なども担当します。
2023年からNHK財団で働く松尾剛アナウンサーが、人生で初めて司会をすることになった「年末ジャンボ宝くじ抽せん会」についてお伝えします。
毎年大晦日に行われるこの抽せん会。松尾アナはアシスタントの「宝くじ幸運の女神」とともに、放送席に座りました。この日一番の仕事は、当せん番号を間違いなく伝えること。
1等の当せん番号の抽せんの瞬間は全国に生放送されています。わずか15分間ですが、放送の舞台裏をご紹介すると…。

   前日、別会場でのリハから真剣

どんな放送でも、間違えないというのは基本中の基本なのですが、とりわけ、宝くじの当せん番号を間違えることは絶対にできません。本番前日、大会議室を借りて本番と全く同じ機材を使用して、綿密なリハーサルが行われます。普段は日本全国に散らばって抽せん会の司会のアシスタントなどを担当している3人の「宝くじ幸運の女神」が、参加します。

「風車盤」正式名称は「映像表示式電動式大型風車型抽せん機」

並んで立つと、身長180センチの松尾アナが小さく見える「風車盤」。数字の書いてあるボードが風車のように回るので、こう呼ばれています。正式名称は「映像表示式電動式大型風車型抽せん機」。「6」と「9」は間違えることがないように、下に線を引いてあります。

 矢を発射する台を間近で見る

回転する風車盤に矢を放ち、当せん番号が決まります。この矢は、圧縮空気を使って打ち出されます。どちらの数字に矢が刺さったのかが分かりにくい時は、「4人の立会人が双眼鏡を使って確認する」など、細かい手順もこの段階でしておきます。

 ここで祈っても、当たりはしない…

ここで、抽せん会の会場、東京オペラシティ コンサートホールに移動します。松尾アナも「全国の皆さんに夢を届けるぞ!」と気合が入っていました。ところが「あのボードに自分の買った番号が出てきたら、嬉しくて仕事にならないなぁ。抽せんに集中するために、宝くじを持ち込むのはやめておこう」などと、半分本気で話し始めました。当たってもいないうちから当たった時の心配をするなんて、全国の宝くじファンを代表しているようでした。

 同じ数字が100枚以上も…

決まった当せん番号は、見上げるような高さのボードに張り出します。その際に使う数字がこちら。確率論から、実際にはまず起こらないことですが、ボードに貼る数字が全部同じになってしまった場合でも対応できるように、すべての数字が150枚近く用意されています。たとえ、「111組の、111111番」と、1ばかりが並んだとしても大丈夫なのです。

 ミリ単位の細かい修正
  (番号はリハーサル時のダミーで、実際の当せん番号ではありません)


張り出された番号に間違いはないか、そして見やすく張られているか、細かいチェックが続きます。「ほら、上から3列目の数字、左を1ミリ上げて」というようなところまで手を抜きません。
リハーサルを終えて2023年大晦日の本番。無事に、間違いなく放送することが出来ました。
宝くじの結果は、(特に宝くじを買ったみなさんは)ご承知の通りでした。
2024年は、ドリームジャンボ宝くじ、年末ジャンボ宝くじと2回、抽せん会を担当する予定です。「一回くらいは…。いかんいかん。今年も地道に頑張るぞ~」と、毎年のように調子のいい松尾アナでした。

当せん番号の一部…かも?

(取材・文/NHK財団 ことばコミュニケーションセンター 廣田 直敬)