聖地巡礼好きのH岡です。
今回は、「らんまん」主人公・槙野万太郎のモデル、牧野富太郎生誕の地・高知県佐川町にやってきました。佐川駅まで、高知駅から特急に乗れば30分ほど。

駅に降り立って歩き出すとすぐに、牧野少年が暮らした当時の面影を感じたといったら大げさでしょうか……。古民家や白壁造りの酒蔵が建ち並び、風情ある古い町並みが広がります。

仁淀川によどがわに恵まれ、冬は氷点下まで下がるこの地は酒造りには格好の場所。
牧野の生家も「岸家」という屋号の酒蔵を営んでいました。牧野本人は、日本酒を飲まなかったそうですが。「らんまん」では、酒蔵の当主なのに下戸であることを悩む場面が描かれていましたね。

生家のそばの「金峰きんぷ神社」に続く、急こう配の階段

牧野少年は繰り返し、繰り返しこの階段を上り下りしたのでしょう。
そして、バイカオウレンなどの植物に出会います。まさに、彼の生涯を決定づけた場所なのです。

牧野富太郎生誕の地
ここですべてがはじまったのですね。
人生を植物にかけた情熱の偉人。碑を前にして、少し背筋が伸びる気がします。

牧野家跡地に建てられた「牧野富太郎ふるさと館」
当時の屋敷が復元され、遺品、愛用の品などが展示されています。

※写真の展示内容は取材当時のもの。変更されている場合があります。

忠実に再現された屋敷のジオラマ
牧野少年が暮らしていた姿を想像して、見入ってしまいました。

次に訪れたのは、牧野少年が学んだ「めいこうかん

「名教館」は江戸中期、1722年に佐川領主・深尾氏の家塾として創設されました。牧野少年はここで、儒学、天文などさまざまな勉学に触れます。
福沢諭吉の書いた「かいくにづくし」など、世界の地理・歴史・文化を記した書にも出会い、視野を広めています。

また、この時期、特に英語を熱心に学んだといいます。
「牧野博士の家からは、夜中まで大声で英語を勉強する声が聞こえてきたそうです」(町の歴史資料を所蔵・管理する青山文庫の学芸員、藤田有紀さん)

生涯を通じて、英語で書かれた書を読み、牧野は数々の論文を英語で書いています。若くして佐川で英語を学んだことはとても大きな意味がありました。
ちなみに、朝ドラ「らんまん」では、佐川町内にあるせいげんが「名教館」の設定で撮影されました。

牧野公園
牧野博士が東京から送ったソメイヨシノの苗を植えたことに由来する公園です。
バイカオウレンなど、博士由来の植物たちを見ることができます。
小高い山がそのまま公園になっていて、眺めも良いし、晴れた日にはハイキングにもってこいの場所ですよ♪


さてさて、次はお待ちかね、おやつの時間です!というとこで、ご紹介するのが、地元のスイーツ「地乳ソフトクリーム」です♪
佐川にある3つの牧場からつくられたソフトクリーム。濃厚だけど、後味はすっきり。特に、歩き疲れた後にはおすすめですよ♪(取材スタッフの中には2つも食べちゃった人も……笑)

牧野少年の面影や「らんまん」の世界を感じられる場所、佐川町。
各所がコンパクトにまとまっていて、半日もあれば、徒歩で周ることができると思います。
ゆったりとした時間を楽しみに、ぜひ、出かけてみてはいかがでしょうか。

(取材/文 H岡)(写真/クラタコウスケ ※牧野公園を除く)