現在放送中の連続テレビ小説「らんまん」。8月31日(木)に、物語のモデルとなった牧野富太郎博士のゆかりの地・高知県内にて「『らんまん』ファン感謝祭 in 高知」が実施された。約600人の観客が高知市文化プラザかるぽーと大ホールに集まり、槙野タキ役・松坂慶子さん、脚本の長田育恵さんと小原和樹アナウンサー(NHK高知放送局)が登壇。このイベントの様子の一部をご紹介!


●高知の印象について

長田さん:2023年度の朝ドラ執筆のオファーを頂き、その企画の検討中に旅行で高知に来ました。佐川町など、牧野富太郎博士ゆかりの地を巡り、富太郎博士の生家の裏にある金峰神社に伺いました。緑が豊かで、伺った当時は変わった石の石段が積まれていました。高知は地質も色彩豊かな街だと思い、この地面にはい
つくばって植物を観察している男の子が想像できて、これはいい物語になると思いました。

旅行の際、高知で一番印象深かったのは“勇敢さ”です。佐川には名教館もありますし、高知は坂本龍馬やジョン万次郎など、とにかく人材を輩出している。あの時代の勢いが高知から日本へ広がった。南国で育った勇敢さと冒険心を持つ人たちがいるところが高知の魅力だと思いました。。

松坂さん:高知ご出身の宮尾登美子先生原作の大河ドラマ『義経』と『篤姫』に出演させていただきました。宮尾先生はいつも女性らしく、美しくいらっしゃるんです。そして気さくで豪快で、いつも「しっかりね」と声をかけてくださいました。先生のご出身地の高知に来ると、先生に「しっかりね」と言われている気分になります。

今年春の「らんまん」のロケで高知城を訪れました。私は四方から風が入ってきて気持ちがいい天守閣にいるのが好きです。そこからお城の下でおばあちゃんとお孫さんがお花見している様子も見えて、のどかで良いところだと思いました。


●松坂さん、長田さんが名場面と制作の裏側を解説!

これまでの「らんまん」の放送の中から、高知編や万太郎と寿恵子の恋物語の名場面を映像で振り返り、松坂さんと長田さんが撮影や制作の裏話を語った。また、主演の神木隆之介さん、ヒロインの浜辺美波さんもお気に入りのシーンやセリフを映像でコメント。

5月4日(木)に放送された第24回で、万太郎がタキに峰屋を継がず、東京へ行くことを告げるシーンについて
タキ 「わしは、決しておまんをゆるさんぞね……」

松坂さん:演じていて先祖代々受け継いできたものを守っていってほしいという気持ちと、好きなことに取り組んでほしいという気持ちで板挟みでした。峰屋を捨てていくのかと、先祖の思いもあるので、覚悟して生きていきなさいという気持ちを込めました。

長田さん:タキの、万太郎への最後の贈り物として書きました。優しく送り出していたら、万太郎は覚悟を持てていなかったと思います。「許さない」という言葉に込められた愛情と最大限の励ましです。

松坂さん:ふだん、生活していて感情があふれ出てくることは少ないのですが、このシーンは自然と感情があふれてきました。胸がツンとして、とても不思議な体験でした。

6月1 日(月)に放送された第56回で、寿恵子が高藤を振り、万太郎のもとへ行くシーンについて寿恵子
「約束して。図鑑、必ず完成させてください」

長田さん:これは人が人生で一度だけ交わす重要な約束です。寿恵子が自分からこの約束をさせたことに大きな意味があります。二人はまだこの頃、その約束がどれほど大変なことかわかっていなかった。それでも決めたんです。二人の人生の指針になった大事な瞬間です。

松坂さん:竹雄がまず一生懸命支えて、その後寿恵子さんと一緒になれて万太郎は人に恵まれていますね。

6月30日(金)に放送された第65回で、タキと万太郎、寿恵子、竹雄、綾がヤマザクラの接ぎ木を見にいったシーンについて
タキ 「楽しみじゃのう……いつか、この桜が咲き誇るがか……!ああ、らんまんじゃ……!」

松坂さん:「らんまん」という言葉を言わせてもらえてびっくりしました。タキさんは波瀾万丈な人生でしたが、孫たちみんなの花開いていってくれる未来を想像して、とても幸せだったと思います。

長田さん:タキは江戸時代の象徴のような人です。タキがいなくなることは、一つの時代が終わるということ。このシーンではタキが過去の追憶に生きるのではなく、一つの時代は過ぎ去るけれど、次に広がる未来を想像することで、去りゆくタキが残す精いっぱいの祝福という意味でこのセリフを書きました。
万太郎、寿恵子、竹雄、綾が子どもたちと花見をしている映像はタキの思い描く未来なので、誰も知らないはずなんです。タキの「らんまんじゃ……!」のセリフの言い方でどれだけ素晴らしい未来を想像しているかが分かります。
朝ドラの放送時間は忙しい時間帯なので、何かしながら音声だけ聞いている方もたくさんいらっしゃると思います。他のドラマに比べて音の力が朝ドラは大事だと思っています。このセリフの響きだけでも、ものすごく大きな勇気になったのではと思います。

松坂さん:さすが脚本家さんは音の考えも深いですね!


●視聴者の皆さんへメッセージ

長田さん:最終回まで万太郎、寿恵子と、二人を取り巻く登場人物含めて、それぞれの人生が咲き誇る物語です。これから夢を実現していく姿を、視聴者のみなさまに楽しみに見守っていただければと思います。

松坂さん:体の弱かった万太郎が、植物を愛し、丈夫になり、自分の夢を実現していく様子が一視聴者としても、タキさんとしても、とても楽しみです。


【イベント概要】
実施日時:2023年8月31日(木)
会場:高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
【放送予定】
2023年9月16日(土) 午前8時15分(総合・四国地方向け)

※NHK プラスでも2週間配信します。