新・介護百人一首

病みてのち
杖に頼れる
身となれど
成したきことの
夢多く持つ

茨城県三橋 昭子 95歳)

詞書

一人暮らしの私。完全主義でけが。とうとう杖を頼っての生活、九十五歳。今ケアハウスで生活していますがやりたいことは注意しながらやりたいです。

感想コメントをいただきました

市毛良枝

あきらめない。95歳という年齢も、得てしまった病も。夢はいっぱいあって、やりたいこともたくさんある。危険でも、難しくても、意欲がある間はやり続けてほしい。親を介護した頃、親にも周囲の人々にも、「老人」や「病人」ではなく、「人」として生きてほしいと願っていました。作者の諦めない姿勢から、やりたいことを、実現に向けて動くことに年齢は関係ないと、皆が学べ、応援したくなる歌です。

市毛良枝

静岡県生まれ、俳優。文学座附属演劇研究所、俳優小劇場養成所を経て、1971年ドラマ「冬の華」でデビュー以後、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。現在は、母の介護の経験を通じ、執筆活動や講演も行っている。趣味の登山をいかし、特定非営利活動法人 日本トレッキング協会理事、環境カウンセラーの資格を持つ。「73歳、ひとり楽しむ山歩き」(2024年2月発行 KADOKAWA)が好評発売中。