新・介護百人一首

盆棚も
迎火もなき
老施設
亡き妻の写真へ
手を合わす

秋田県藤田 與一 95歳)

愛知県 鈴木陽仁
鹿児島県 東愛理

詞書

施設では、盆の行事など何もありません。亡き妻の写真へ手を合わせます。

感想コメントをいただきました

鎌田實

お盆がやってきても、盆棚も迎火ない施設。仕方ありませんね。でも、藤田さんのこの短歌の中に、迎え火が燃えています。
亡き奥さんは、数日だけだけど、藤田さんのもとにきっと戻ってきたと思います。
95歳の夫が、亡くなった妻へ、これほどの思いを持っている。とても素晴らしい歌です。

鎌田實

1948年生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、JIM-NET顧問、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員(他)。武見記念賞受賞。