新・介護百人一首

誰彼だれかれ
「ありがとじます」と
お辞儀する
壊れしも父は
礼儀正しい

徳島県庄野 悦子 70歳)

愛知県 榊原娃

詞書

信望を集めていた父の認知症がひどくなっていくことはとても悲しいことだった。私のこと(娘)も分からなくなっていく父。しかし、父は暴言等もなく、人格の部分が壊れなかった。娘としては誇らしく思う父である。

感想コメントをいただきました

北条ふとし

『ありがとう。』きっとお父さんはその時その時本当に感謝の気持ちを持っていたのでしょう。決して口癖ではなく心からの気持ちだと思います。そういう人生を歩んできたからこそ出る言葉なんでしょうね。例えはっきりとした言葉にならなくてもそれは相手に間違いなく伝わる。伝わることが大事なんです。僕だけでなくこの短歌を詠まれた方みんなが思うでしょう。あなたのお父さんは素晴らしい人です。

北条ふとし

1976年生まれ、埼玉県吉川出身。お笑い芸人、俳優。NSC東京2期生『サブミッション』というコンビで長年活躍していた。2005年4月からピンで活動開始。よしもと埼玉県住みます芸人、マツコデラックスのモノマネが好評。両親の介護をきっかけに、介護の世界に携わり、現在勉強中。認知症介助士、認知症キャラバンメイトの資格取得や「羽ばたけ!SAITAMA KAIGO オンライン芸術文化祭」の特別審査員、プレゼンターなどを務める。