新・介護百人一首

昭和時代に
看取みとった親を
思い出す
今生きてれば
手厚い介護を

東京都金子 恒子 87歳)

詞書

お盆の時期になると、夫と私の四人の両親の老後を思い出します。介護保険どころか福祉制度も身近でない時代は、自力も限度はありました。今だったらもっと穏やかに親孝行ができたのにと悔やまれます。

感想コメントをいただきました

市毛良枝

どれほど世話したとしても、別れの後は後悔が残りますよね。それが、制度も未整備だった時代に頑張ったことを振り返ると悲しくなりますね。作者自身も年齢が上がり、より身近に感じられるのかもしれません。条件の整わない中で、歳をとっていく親に寄り添いながら介護を続けた、そんな割り切れない感情が伝わります。よく頑張ったとご自分のことも労っていただきたいです。

市毛良枝

静岡県生まれ、俳優。文学座附属演劇研究所、俳優小劇場養成所を経て、1971年ドラマ「冬の華」でデビュー以後、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。現在は、母の介護の経験を通じ、執筆活動や講演も行っている。趣味の登山をいかし、特定非営利活動法人 日本トレッキング協会理事、環境カウンセラーの資格を持つ。「73歳、ひとり楽しむ山歩き」(2024年2月発行 KADOKAWA)が好評発売中。