新・介護百人一首

「あっかんべ」
そう言いましたか
義母かあさん
認知症の今も
失礼ですね

広島県岡田 弘子 66歳)

愛知県 匿名希望
東京都 沢田栄子

詞書

同居の義母も認知症です。先日トイレの事で注意したら「あっかんべ」と言いました。義母もストレスがたまっているのでしょうか。

感想コメントをいただきました

吉田潮

お義母さんに対する愛と敬意と毒のこもった歌ですね。皮肉が最高です。「今も」の2文字に、作者の来し方がパーッと広がって見えました。義母に心外なことを言われた過去もあったのでしょう(推測ですが)。「あっかんべ」と幼稚な反抗を見せた義母に寛容な対応をしつつ、ちょびっと毒を盛る。さらには義母への敬意とおもんぱかりも感じさせる、品のある歌だと思いました。お互いにストレスを発散できて、喧嘩けんか両成敗ですね。

吉田潮

ライター・コラムニスト・イラストレーター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業。健康誌や女性誌の編集を経て、2001年よりフリーランスライターに。週刊新潮、東京新聞、プレジデントオンライン、kufuraなどで主にテレビコラムを連載・寄稿。NHKの「ドキュメント72時間」の番組紹介イラストコラム「読む72時間」(旧TwitterのX)や、「聴く72時間」(Spotify)を担当。著書に『くさらないイケメン図鑑』、『産まないことは「逃げ」ですか?』『親の介護をしないとダメですか?』、『ふがいないきょうだいに困ってる』など。テレビは1台、ハードディスク2台(全録)、BSも含めて毎クールのドラマを偏執的に視聴している。