新・介護百人一首

冬の朝
歩けぬ義母はは
結露した
ガラス窓拭く
伝い歩きで

大阪府打浪 紘一 79歳)

大阪府 打浪紘一

詞書

寒い朝、ガラス窓が結露しているとリウマチで足が不自由な義母が伝い歩きしながら拭きとってくれました。自分にできる精一杯のお手伝いだったのでしょう。

感想コメントをいただきました

恩蔵絢子

朝ごはんを作ったり、仕事に行ったり、若いものはいろいろ毎日の仕事で忙しくて季節的な結露にまでは手が回らないだろうからこういうところはやってあげなくちゃと、どんなに体を悪くしても細かく家の様子を見ているお年寄りの賢さ、力を感じました。

恩蔵絢子

脳科学者。2007年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了(学術博士)。専門は自意識と感情。2015年に同居の母親がアルツハイマー型認知症と診断される。母親の「その人らしさ」は認知症によって本当に変わってしまうのだろうか?という疑問を持ち、生活の中で認知症を脳科学者として分析、2018年に『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)を出版。認知症になっても変わらない「その人」があると結論づける。NHK「クローズアップ現代+」、NHKエデュケーショナル「ハートネットTV」に出演。2022年には、母親に限らず、認知症についてのさまざまな「なぜ?」に対して脳科学的に解説する『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』(中央法規。ソーシャルワーカー・永島徹との共著)を出版。現在、金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学非常勤講師。