3月12日、東京・渋谷のNHK放送センターで記者会見が開かれ、現在放送中の「光る君へ」、2025年の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に続く、2026年放送の大河ドラマ第65作は「豊臣兄弟!」であることが発表された。
物語の舞台は、戦国時代のど真ん中、主人公は天下人・豊臣秀吉の弟で、兄と強い絆で結ばれた弟・豊臣秀長。
秀長は「もし秀長が長生きしていれば、豊臣家の天下は安泰だった」とまで言われた天下一の補佐役。天下統一という偉業を成し遂げた“豊臣兄弟”の奇跡を描く、夢と希望の下剋上サクセスストーリーだ。
その豊臣秀長を演じるのは、近年活躍目覚ましい仲野太賀。大河ドラマへの出演は、「風林火山」「天地人」「江~姫たちの戦国」「八重の桜」「いだてん」に続き6作目となる。
脚本は、「おちょやん」「家康、江戸を建てる」「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」「家政夫のミタゾノ」などで知られる八津弘幸が担当する。
会見に登壇した仲野は、
「こんなに光栄なことはないなと思っております。今日という日が来るのがすごく待ち遠しくて、無事皆様の前で発表できていることを、心底ほっとしております」
と感慨深げな様子。さらに、
「大河ドラマの主役を演じるということで、これまで本当に偉大な先人の方々が繋いでこられたバトンを僕が授かるということで、その重みをすごく感じていると共に、とてもわくわくしているというのが正直なところです」
と心境を吐露した。また、自身が演じる役柄については、
「これまであまりフィーチャーされてこなかった豊臣秀長を演じるというのは、きっと未知な部分もありますし、すごく自由度もあって楽しく演じられるのかなと感じています。このチームで、最高に面白い大河ドラマを作りたいですし、最高に魅力的な秀長を演じられたらと思っています」
と語り、「どうか楽しみにしていただけたらと思います」と笑顔を見せた。
一方、脚本の八津からは、
「今率直な思いとしては、相当なプレッシャーを感じています。戦国時代は、武力で物事をなしえていく、侵略していくことが当たり前で、それが正しいことだと思われていた時代。その時代を今描くことの難しさは、すごく感じています。視聴者の皆さんにどういう風に伝えればいいのか悩んでいるところですが、なるべく若い人たち、子どもたちにも楽しんでもらえたらと思います」
と真剣な面持ち。また、豊臣兄弟の関係性について、
「秀吉の弟である秀長が、お兄さんにどれだけ振り回されるのかを、楽しむポイントの一つとして描いていけたらいいなと。これから皆さんと相談しながら、作っていけたらいいなと思います。よろしくお願いします」
と締めくくった。
豊臣秀長役 仲野太賀プロフィール
なかの・たいが
1993年生まれ、東京都出身。近作に、ドラマ「あのコの夢を見たんです。」「コントが始まる」「#家族募集します」「初恋の悪魔」「ジャパニーズ・スタイル」「いちばんすきな花」、映画『泣く子 はいねぇが』『すばらしき世界』『あの頃。』『ゆとりですがなにかインターナショナル』『笑いのカイブツ』『熱のあとに』ほか。第45回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第76回毎日映画コンクール男優助演賞、第64回ブルーリボン賞助演男優賞などを受賞。NHKでは大河ドラマ5作のほか、ドラマ10「拾われた男」主演、2024年4月より放送の連続テレビ小説「虎に翼」にも出演。
作 八津弘幸メッセージ
「そりゃ日本で脚本を書くなら、いつかは大河を目指したいです」
20年前、僕が事務所に入る時に、どうやらマネージャーに言った身の程知らずの一言らしいです。すみません全く覚えてません(笑)。おそらくちょっとした軽口だったのだと思います。でもその言葉を真に受けたとても素直なマネージャーさんが、行く先々、ことあるごとに、八津は大河を書きたい!と声を大にして猛アピールしてくれたおかげで、僕は少々小っ恥ずかしかったですが、今こうして、光栄極まる機会を頂くことができました。言ってみるもんですね。気に留めてくださった皆さま、ありがとうございます。
おかげで、大きな高揚感と同時に、恐怖のどん底です。しかも扱うのは王道中の王道、戦国時代。ヤバいです、これまでの良作の数々と比べられてしまうパターンです。
すでにプレッシャーで押し潰されそうな毎日ですが、そんな時は弟を誘ってスーパー銭湯へ行くのです。週一ペースで行ってます。あれこれ相談したり、馬鹿話もして、立ち直ります。頼りになる有能な弟がいてくれて本当によかった……というわけで、豊臣秀長です。
最高の補佐役と言われる秀吉の弟ですが、果たしてその真意はどうだったのか。秀吉は秀長を本当のところどう思っていたのか。僕も弟と湯船に浸かりながら、思いを馳せてみたいと思います。
いつの日か僕らが天下を取って『八津兄弟』が大河ドラマ化されることを夢見て……という軽口もまた実現するかもしれません……しねーわ!(笑)
やつ・ひろゆき
1999年脚本家デビュー。大胆な構成力とエンターテインメント性をベースにした重厚な人間ドラマだけでなく、笑って、泣ける人情ドラマを手がけてきた。NHKでは連続テレビ小説「おちょやん」、「1942年のプレイボール」「家康、江戸を建てる」「アイドル」、そのほか主な作品に「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」「家政夫のミタゾノ」などがある。
制作統括 松川博敬より
天下人・豊臣秀吉の一代記である『太閤記』。この日本史上最も有名なサクセスストーリーを「兄弟の絆」というテーマで令和の時代によみがえらせます。これまでダイナミックなエンターテインメント作品を数多く手掛け、話題作を連発してきた八津弘幸さんに脚本を託します。
主人公は弟の豊臣秀長。兄・秀吉の天下取りをただ一途に支えつづけた「天下一の補佐役」といわれています。
秀長は兄の天下統一を見届けたのち病に倒れます。その後の秀吉の暴走と豊臣家の没落は周知のとおりです。
「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた、彼の利他的な生きざまは、混迷をきわめる現代社会を生きる我々に、生きるヒントを与えてくれるものになるかもしれません。
主役を演じるのは仲野太賀さん。等身大の人物を泥臭くエネルギッシュに演じ、見る者の心を鷲づかみにする唯一無二の若手俳優です。
1963年「花の生涯」に始まった大河ドラマの歴史は、今作で64年目を迎えます。私にとって(そして多くの大人たちにとって)幼少のころに出会った大河ドラマは、歴史に興味を持つきっかけになってきたのではないでしょうか。
この企画を考えるにあたり、未来を担う子どもたちにとってそんな「歴史への興味の扉」としての大河ドラマの役割を強く意識しました。小学生でも楽しめる、歴史初心者にもわかりやすい、家族みんなでご覧いただける大型娯楽時代劇をお届けしたいと切に願っています。
尾張中村の貧しい農家に生まれた小一郎(のちの豊臣秀長)は、田畑を耕し土と共に生きる暮らしに満足しながら、平穏な日々をすごしていた。ある日、音信不通の兄・木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が意気揚々と姿を見せる。若き戦国武将・織田信長に仕官して大出世を目指しており、小一郎に自分の家来になって欲しいと願い出る。
強引な兄の誘いに巻き込まれる形で武士への転身を余儀なくされた小一郎は、母と姉妹を残し生まれ故郷の中村をあとにする。藤吉郎とともに城下町の清州に出てきた小一郎は主君・信長と運命的な出会いを果たす。その他、信長のもとで野心を燃やす若き家来たちなど、その後の木下兄弟の運命を左右する人物との刺激的な出会いの数々――。
そして、ついに「桶狭間の戦い」の火ぶたが切られる。信長の奇跡の大勝利に、武士として生きていく覚悟を決めた小一郎だが、それはピンチと苦労の連続の始まりだった――。
天下布武への道をひた走る信長のもと、メキメキと頭角をあらわしていく兄・木下藤吉郎。その天才的といわれる武功の数々を実現せしめたのが、弟・小一郎の知恵と勇気、そして持ち前の「調整力」だった。
目の前に立ちはだかるハードミッションを絶妙のコンビネーションで次々とクリアしていく木下兄弟。やがて小一郎は兄とともに、万民が笑って暮らせる太平の世を作るという夢を抱き始める。
戦国乱世を舞台に、熱い兄弟が夢と希望を胸に突っ走る、奇跡の下剋上サクセスストーリー!
2026年 大河ドラマ「豊臣兄弟!」
2026年1月~放送予定
作:八津弘幸
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄