ご無沙汰しております。久しぶりの更新となってしまいました。
朝ドラの執筆、子育てなどバタバタとした日々を過ごしております。しんどいことも多いけれど、大好きなスタッフさんとの大好きな朝ドラの作業、だんだん生意気になってきた愛する息子と家族との楽しい毎日を送っております。朝ドラについては、また時が来たら色々とお話させてください。息子の保育園ではヘルパンギーナが大流行中です。皆さんご自愛くださいませ。

本当はこの連載で「生理のおじさんとその娘」をご覧いただいた感謝や、脚本の一人として携わったアニメ「TIGER & BUNNY 2」の地上波放送開始に合わせて色々と書こうと思っていたのですが、瞬く間に時が過ぎて行ってしまった……というのは全て言い訳です。私のスケジュール管理ミスです。ごめんなさい。今後は開けずに更新できるように頑張ります。

さて今回、グッときた言葉に選ばせてもらったのは
【別に色恋だけが人生じゃねぇし……】です。
今度放送となる「TIGER & BUNNY 2」第15話にでてくるセリフ。はい、すみません。自身が関わっている作品の台詞なので自画自賛になってしまって……でも西田さんとの共同脚本なので、大目にみてください。

「TIGER & BUNNY」をご存じない方に、ものすごく簡単に説明するとヒーローアニメです。
シュテルンビルトという都市で、職業として人助けを行い、その様子がテレビ中継されているヒーローたちの物語です。興味を持ってもらえたら調べてみてください。更に興味を持っていただけたら是非本編をご覧ください。

(C)BNP/T&B2 PARTNERS

“タイバニ”の略称で愛していただいている本作は私が学生の頃から携わっている、本当に大切な作品です。タイバニ一期放送後も本作のコミカライズやゲームのシナリオを描かせてもらいました。タイバニで出会ったスタッフさんたちとはその後お仕事もご一緒しており、仕事相手を超えて同志というか、大切な存在の方が多いです。(そしてコミカライズも現在連載中です。よければチェックしてみてね)。

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今の自分がいるのも、大袈裟でもなんでもなく、この作品のお蔭だと思っていますし、シュテルンビルト市民ことタイバニファンの方々の応援にはいつも励まされて背中を押してもらっています。一期の放送後、私自身はまだ若く、めちゃくちゃ仕事が増えた訳でもなく、大学卒業後就職した友人たちと人生の違いに、不貞腐れそうになったものでした。

承認欲求が肥大して不毛な考えを抱いたこともありました。そんな時も、市民のみなさんが SNS やお手紙で感想をくれて反応してくれました。「きちんと物語は届いている」と思えて、仕事にまい進することができました。時は流れて、ありがたいことに沢山お仕事をいただけるようになり、自分を取り巻く環境も一期の時とは大きく変わりました。

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そんな中、始まった二期の脚本作業。ファンの方はご存じかと思いますが、タイバニ2は一度白紙に戻り、再開されるまでに、とても長い時間がかかってしまいました。当時の悔しさや、声は大きいけれど真実とは違うことをいう人たちに怒りを覚えたりもしました。
二期のことを話せず、市民の人たちを何年も応援させてしまうことに苦しさを覚えたこともありました。

でも、このタイミングで脚本作業が再開されたことはきっと意味がある。経験を積んだ私たちでしかできないことがある。自分視点でしかない考えですが、強くそう思いました。今ならシリーズ構成の西田さんや脚本陣、スタッフのみなさん、そして何より、ずっと二期を待っていてくれた市民の皆さんに恩返しができるかもしれない。そう思ったのです。時が流れて制作陣の考え方や伝えたいことがブラッシュアップされており、今だからこそ描ける物語が紡ぐことができたと思います。もちろん私の力など微力ですし、西田さん監督をはじめとする現場スタッフ全員が力を合わせたからこそできた作品であることは言うまでもありません(久しぶりに西田さんや脚本チームとお仕事できて楽しかったです)。

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でも一期の後に積んできた私のキャリアや考え方、伝えたいメッセージが、育っていったタイバニに対しての愛が、二期の制作において、多少はお役にたてたのではないかなと思ったりしています。
「タイバニ 2」の初配信は「恋せぬふたり」より後ですが、執筆作業は「恋せぬふたり」よりずっと前。出産前(出産ギリギリまで)です。アニメはシナリオ作業から公開まで時間が開く為、完成映像を見る時に細かいセリフを忘れてしまうこともあるのですが、今回ぐっときた言葉に選んだセリフも映像をみるまで書いたことを忘れていたセリフでした(正確には西田さんと共同脚本なので、西田さんと私が書いたセリフです)。一期から積んだ自分の経験が二期に影響しているように、二期の経験がまたそれ以降の仕事にも影響を与えているんだなと感じてとても嬉しくなりました。いつかあるかもしれない三期の為に、これからも精進してパワーアップしていきたい所存です。ココデオワルハズガナイノニ精神で頑張ります!

(C)BNP/T&B2 PARTNERS

1987年生まれ、神奈川県出身。脚本家・小説家として活躍。主な執筆作品は、「DASADA」「声春っ!」(日本テレビ系)、「花のち晴れ~花男 Next Season」「Heaven?~ご苦楽レストラン」「君の花になる」(TBS系)、映画『ヒロイン失格』、『センセイ君主』など。NHK「恋せぬふたり」で第40回向田邦子賞を受賞。

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第1回:最近、私がグッときたのは、この言葉!
第2回:鉄道は飽きないよ。全然飽きない。もう 100%楽しい。ぶっちゃけ言っちゃえば、もう100%楽しい!
第3回:「気をつけて、だけど恐れずに」クローズアップ現代・沢木耕太郎氏の言葉より。
第4回:「恵里香ちゃん、仕事どう?楽しい?」愛する姪っ子の言葉。
第5回:「つまんない爪と耳になったな」ある人の言葉
第6回:原田泰造さん「このドラマを見て、これはちょっとでも分かってもらえた方がいいのかなって思ってもらえるとうれしい部分もいっぱいあります」