和解者――ことばを武器に、政治的交渉の場にも立ち合った“通訳者”。
本作は、幕末、海外との唯一の接点だった長崎を舞台に、類いまれな言語能力を持つ青年・伊嶋壮多がオランダ通詞(=通訳)だった父の失踪の謎と、密貿易の闇を追う冒険活劇だ。壮多役の永瀬廉に、作品にかける思いを聞いた。
とにかく苦労したオランダ語
実は、時代劇というと、刀を持って立ち回りを演じるイメージが強かったんです。でも「わげもん」は、通訳に焦点を当てた、とても珍しい作品。ミステリーであり、冒険活劇でもあり、教科書ではあまり習わないような歴史の舞台裏が描かれているところも魅力的で、撮影に入るのが楽しみでした。
それに、出島があった幕末の長崎が舞台なので、オランダ語はもちろん、英語、中国語、ハワイ語まで出てくる。長崎ことばも外国語のようで(笑)。ここまでたくさんのことばが飛び交う現場を経験したことがありませんでしたし、耳なじみがないことばだからこそ、ぐっと引き込まれる魅力があると感じました。
ただ、僕が演じる伊嶋壮多は、独学でオランダ語を身につけたという設定。これまで一文字も聞いたことのない言語だったので、めちゃめちゃ苦労しました。当然、日本語とは違うし、似ている単語こそあれ、英語とも全く違う。
指導の先生の発音を聞きながら、オランダ語が書かれた紙にカタカナで書き込もうとしたけど、それすらもできないくらいに耳が慣れなくて。そこで、先生に読みがなを振ってもらい、一緒にしゃべって発音を直していただきました。それでもなかなかうまくできませんでしたね……。
特にGの発音が独特で、うがいするときのように、のどの奥で「ガッ」と鳴らすような音を出すんですよ。一連のセリフの中でGを発音するのが、とにかく難しい。
仕事がオフのときにリモートで先生に指導をお願いしたり、同じくオランダ語のセリフが多い、通詞の森山(栄之助)役の小池徹平さんと一緒に、現場で練習したりもしました。本番は緊張して、変に汗をかきながら言っていたのを思い出します(笑)。
インタビューの続きは、ステラ1/21号で!
1999年1月23日生まれ、東京出身。2018年にCDデビューした「King & Prince」のメンバー。主演映画『弱虫ペダル』で第44回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。NHKでは、連続テレビ小説「おかえりモネ」に出演。主演映画『真夜中乙女戦争』が、2022年1月21日金曜より公開。
(NHKウイークリーステラ 2022年1月21日号より)