――神戸栄養専門学校で結と一緒に学んでいた佳純が再登場してくれたこともうれしかったですが、東日本大震災の際に支援のため栄養士として東北に行っていたと聞いて、佳純の成長に感動しました。

調理実習や炊き出しもそうでしたけど、栄養専門学校時代は本当にJ班の4人で何かをすることが多くて、佳純は「みんながいるから自分も何かできる」みたいな感覚だったと思うんです。でも、卒業後、東京の病院に一人で就職して、いろんなことを経験したことで、自分一人でも行動を起こしたい、起こせると思ったんじゃないかな。

そういう思いで東日本大震災の被災地に行きますが、現地では佳純のやりたいことができない現実もあって。ただ、そういう障害があっても、仲間たちと頑張って得てきた経験があったからこそ、佳純は被災者の方たちのために全力を尽くし、自分の思いを貫くことができたんだと思います。

仲間たちのおかげで、自分も栄養士になって本当によかったと被災地で感じることができたから、わざわざ結にお礼を言いに行ったんですよね。

――平さんは74話(1月16日[木]放送)の台本を読んだ時、どんな印象を持たれましたか?

私は阪神・淡路大震災の時はまだ生まれていませんでしたが、東日本大震災の時は11歳でした。東日本大震災は初めて体験した大きな震災でしたので、自分の中で、当時の映像がすごく濃く残っています。だから、現地に行ったシーンの台本を読んでいるだけで自然と熱い思いがあふれてしまい、佳純としてしっかりと演じなければと感じました。

――撮影を前に、被災地での栄養士の活動について勉強されたのですか?

資料などを読んで勉強しました。佳純のセリフにもあるんですが、栄養士としては、生きる上で食事がすごく大切だと思っているのに、実際には食事よりも先に目を向けないといけない問題がたくさんあることに、改めてショックを受けました。

現地の方の食事が後回しになってしまったり、せっかく派遣された栄養士が別の仕事をすることになったりというのは、ちょっとしんどいことですよね。でも、人手が足りなくて救援物資を仕分けできないという現実があったら、その仕分けをいち早くおこなう人が必要なわけで……。

――震災をドラマというフィクションで描くのは難しい部分があると思うのですが、演じる上で心がけたことはありましたか?

被災地のシーンで、現地の方と話すときの接し方や距離感には気をつけようと思いました。親しげにしすぎるのも違うと思うし、変に心配しすぎるのも違うと思うんです。ちゃんと真剣に、相手の心の声を聞くように、思っていることを察することができるような距離感を保つことに意識しました。

やっぱり被災された方の思いは、まわりの人間には計り知れないものがあって。その人が感じていることの一端は理解できたとしても、もっと別の重い気持ちを抱えていらっしゃることもありますので、そこにどう寄り添うべきなのかは本当に難しいと感じました。